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日本語センター=ふれあいセミナーで友情育む=日本の心が詰まった言葉を体験

ブラジル日本語センターの「第21回日本語ふれあいセミナー」参加者ら

 ブラジル日本語センター(日下野良武理事長)は「第21回日本語ふれあいセミナー」を20~23日の4日間、サンパウロ市ビラ・マリアナ区のブラジル霊友会会館で開催中だ。日本語学校生徒が共同生活を通して交流を図るもので、20日午前に開講式があった。

 セミナーにはサンパウロ、パラナ、マット・グロッソ・ド・スル州などブラジル各地、ボリビアから10代の生徒約85人が参加。参加者は3泊4日の共同生活を送り、グループで日本語による寸劇発表や運動会などのプログラムを通して、日本文化への理解を深め、日本語学習者であることを共通項に親睦と友情を深める。

交流を楽しむ参加者の様子

あいさつを行った日下野理事長

 開講式で日下野理事長は「日本語を学ぶだけでなく、日本語で友情を育む機会を提供したいとセミナーは始まった。過去に参加した先輩方は、今や国外でも活躍している。セミナーを通してたくさん友達を作って」と呼びかけた。

 助成を行う国際交流基金サンパウロ日本文化センターを代表し、あいさつに立った山雄起副所長は「日本文化を通して横のつながりを作ることは重要。この機会に新しい友達に出会えたら、素晴らしいこと」とセミナーの意義を強調した。

 運営の中心を担う志村マルガレッテ日本語センター副理事長は、「文化には、サッカーのように見える文化もあれば、日本文化の『おもてなし』や礼儀のように見えない文化もある。同世代の学習者と友情を深めながら、日本の大切な精神が詰まった見えない文化を学んで」と述べた。

 日本・ポルトガル両語で進行し、過去の参加者を中心に、日本語教師や国際協力機構(JICA)ボランティアも協力し、司会やプログラム進行、参加者の生活指導など全体の運営を行っている。

 開講式後には、セミナー経験者の高橋麻利さん(25、三世)、滝浪仁さん(25、三世)のスピーチが行われた。2人は日本語学習を始めたきっかけやセミナーでの思い出、日本文化に接することが人格形成に大きく関わったことや、現在も仕事などで日本語が役立っていることを紹介。

 高橋さんは「皆さんはまだ日本語を学ぶ理由が分からないかもしれないが、私は学ぶ中で日系人アイデンティティを築き、成長できた」と自身の体験を語った。

 参加者の井伊エイカ・レチシアさん(16、三世)は4歳から日本語学校に通い、スピーチコンテストでも優勝した。昨年はJICAの日系社会次世代育成研修で訪日。カラオケが好きでJ‐POPも歌う。セミナーでの目標を尋ねると「新しい友達を作り、交流を通して何か得られるものがあれば」とした。

 10年ほど前に母親の勧めで日本語を学び始め、アニメ・漫画に興味を持ったことから「日本語をもっと勉強したい」と初参加した山積紗百合(やまづみ・さゆり)アンドレイアさん(16、三世)。「まだ始まったばかりだが楽しい。皆と仲良くなって、日本語を学び合いたい」と意欲を見せた。

 20日午前には自己紹介を兼ねたゲームが行われ、セミナー中の規則が説明された。今後は参加者が特技を披露する「タレントショー」や、アニメ・漫画の登場人物に扮する「コスプレコンクール」、東洋街見学などが行われる。