中国湖北省武漢市で発生した、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者、死者が増えている。
22日にはブラジルでも、中国の上海を訪問し、18日に帰国した、ミナス州ベロ・オリゾンテ市在住のブラジル人女性(35)が感染の疑いがあって検査中と同州保健局が発表したと、22、23日付現地各紙、サイトが報じている。
新型コロナウイルスによる肺炎は、発熱、けだるさ、咳が主な症状で、多くの場合は息苦しさも伴う。
ブラジル保健省は22日の内に、「ミナス州の件は新型ウイルスではない」との見解を表明。23日には感染の可能性を正式に否定した。
保健省が検査結果が出る前に可能性を打ち消した理由は、その女性は上海にいたのであり、発生源の武漢市にはいなかったからだ。上海と武漢は800キロ以上離れている。22日までの世界保健機関(WHO)の発表では、感染は武漢とその周辺、または、武漢に行った外国人の間だけで発生している。
また、女性は当局に、上海でもウイルスに感染した患者や患者と思しき人物とは接触していないと話している。
この女性は21日、ベロ・オリゾンテ市内にある24時間体制の緊急医療施設(UPA)を訪れた。女性の症状はさほど重くなかったが、「中国から帰国」、「肺炎の疑い」の2要因から、医療スタッフは慎重を期す意味で、検査のできる病院に女性を移した。
連邦政府は、「国内では新型ウイルスによる肺炎の症例は出ていない」との立場だったが、ミナス州保健局は、「検査結果が出るまでは可能性を完全には否定できない」としていた。
保健省はWHOと共同で、毎日、状況を注視している。WHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を出した場合には必要な措置をとると発表した。
政府は既に、国家衛生監督庁(Anvisa)や農務省、各州保健局に対し、人や商品の移動に関して、バランスの取れた検査体制を敷くように通告した。Anvisaも既に、空港や港湾の保健衛生検査機関に、新型コロナウイルスに対する警戒態勢や検査を強化するよう通知している。
新型コロナウイルスの感染経路はまだ明らかになっていないが、Anvisaは感染拡大を抑えるための基本的な行動が大切だと考え、「症状が出ている人と直接接触するのを避ける」、「症状の出ている人と接触した直後は、特に手をよく洗う」、「野生動物との接触も避ける」などを周知している。
なお、保健省は23日昼前に会見を開き、新型ウイルスに対する警戒レベルを1(最大は3)とすると発表。「ブラジル国内でも感染が疑われた症例が5件報告されていたが、WHOの判断基準に基づき、5件とも感染とは無縁だと判断した」とも語った。