「若い人が楽しく活動を続けられる県人会を目指したい」―。宮城県人会(上利エジガール会長)、埼玉県人会(吉田章則会長)、東京都友会(鈴木ワグネル会長)の合同新年会が、19日午前11時からサンパウロ市リベルダーデ区の宮城県人会会館で開催され、3団体合わせて約80人が一堂に会した。合同新年会は昨年に続いて2回目で、埼玉県人会の吉田会長は冒頭の言葉を強調。今年は新年会以外に、運動会などの合同開催も行っていく考えだ。
東京都友会の大沼ジュン氏の司会で進行。同会の鈴木会長がまず、昨年10月に亡くなった関根隆範前会長を偲んで1分間の黙とうを呼びかけた。続いて合同新年会が開催できたことに感謝の気持ちを表した。
その後、首都大学東京に4カ月間留学した経験を持つ森田カレンさん(23、三世)があいさつし、「先祖のお陰で、日本で日本文化を体験することができて良かった」と率直な感想を日本語で話した。
埼玉県人会の吉田会長は、今年が東京五輪開催年であることに触れ、「ぜひ、皆で盛り上げたい。弱小県人会の我々としては単独ではイベントができず、運動会や日本祭りなど他の県人会の皆さんと一緒にやったり、県連の手伝いをすることで協力していきたい」と説明。「昨年から新体制となり、これまで役員だった皆様には側面的支援をしていただき、若い人が入って楽しく続けられるオープンな県人会を目指したい」と語った。
宮城県人会の上利会長は、自身が会長に就任して2年が経つ中、組織と経営状態の建て直しを実行したとし、空手、ダンス、歌謡などの各種教室も開始したことにも言及。「日本文化を継承していくためにも東北6県の運動会などに(埼玉や東京などの)県人会も参加していただければ」と、今後も合同で各種イベントを実施していく考えを表した。
来賓の野口泰在サンパウロ日本国総領事は今年の五輪について、東京や埼玉が競技会場になっており、東日本大震災で被災した福島、宮城、岩手の3県が、世界からの支援を受けて復興していることを発信するのが最大のメッセージになると強調。「その意味で3県人会がこのイベントを開催することは、とても意義深い」と述べた。
東京都友会の坂和三郎氏が乾杯の音頭を取った後、全員で記念撮影。会食では正月料理の雑煮のほか、豚の丸焼きとブッフェ・スタイルのブラジル料理が振る舞われた。
1990年の「ふるさと創生」記念事業で訪日した経験を持つ加藤エレーナさん(59、三世)は、「(90年)当時は20~30人いた青年が少なくなり、会員が高齢化している。自分が日本に行かせてもらった経験を県人会の枠を超えて若い人たちに伝えていかなければ」と語った。
1995年から東京都友会に所属し、2015年まで役員を務めた経験もある岡田本子(もとこ)さん(81、東京都)は「以前、都友会ではニッケイパラセホテルで新年会を独自に行っていましたが、年々参加者が少なくなっていた。このような合同新年会はとってもいいイベント」と満足した様子で、会食後のビンゴなど3県人会合同でのイベントを楽しんでいた。
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昨年に続いて開催された埼玉、宮城、東京の3県人会合同新年会。今後の合同開催イベントについて埼玉県人会では、今年4月か5月頃をめどにした「運動会」の実施を予定しているとか。「県人会の枠を超える」という意味では、3県合同にとらわれず、埼玉県人会では昨年12月に神奈川県人会との合同もちつき大会も行ったそう。以前から九州や東北などのブロック化が進む一方で、今後は隣県や同地域とは関係のない団体同士の交流も増える見込み。知らなかった県人会のそれぞれの文化を見直すきっかけになるかも。「○○県人会の初代会長は誰でしょう?」など、「県人会対抗クイズ大会」なども実施すれば、より興味も深まるかも。