経済省のロジェリオ・マリーニョ社会保障・労働特別局長は28日、国立社会保険院(INSS)レナト・ヴィエイラ局長の解任を発表した。29日付現地各紙が報じた。後任には、社会保障局長のレオナルド・ロリン氏が就く見込みだ。
CBNラジオで29日朝、経済評論家のミリアン・レイトン氏は「この人事には希望が持てる。正しい方向への第一歩になるのでは」とし、社会保障分野に詳しいロリン氏が局長に就任することを歓迎するコメントを発した。また「予備役軍人をINSSに投入する案は考えもの。訓練が必要だからだ。昨年退職した職員6千人に戻ってきてもらうのが、一番現実的な解決策」と語った。
1月16日付本紙でも報じたように、各所でINSS申請の行列が出来ており、政府は手続きを迅速化するため、窓口受付、列整理のために予備役軍人を投入する事態になっている。
連邦会計検査院(TCU)が、「INSSの手続きのサポート役は予備役軍人だけに限定しなくても良いのでは」との声明を出したことを受け、ボルソナロ大統領は、INSSのサポート役を、INSS退職者などの民間人も務められるようにする暫定令(MP)を出す予定だ。
政府は予備役軍人や民間人のINSSの作業のサポートに投入することで、INSS職員が書類の審査に集中できるようにし、45日以上も返答がない申請者を年内にはゼロにする予定だ。
コレイオ・ブラジリエンセ27日付電子版記事によれば、INSSの年金や各種補助には約200万件もの申請が大行列をなしている。法律では45日以内に判断が出されるはずなのに、1年半以上待っている人もザラにいる状況だ。
また同記事によれば、現在のINSS全職員2万2500人に対して、2017年以来、1万人が定年退職し、十分な補填が行われていないという。特に昨年だけで6300人の職員が一気に退職し、人手不足に陥っている現状がある。社会保障改革が連邦議会を通過するのを見越して、前年金制度のままで退職したほうが有利だと判断した職員が多かったようだ。
29日付現地紙によれば、マリーニョ特別局長は「レナト局長は自身の個人的なプロジェクトに関わりたいと辞意を表明し、それを受け入れた」と語ったが、メディアの見方は事実上の解任だ。記者団は、レナト氏の辞任は、殺到するINSS申請を捌ききれず各所で大行列が発生していることが理由ではないかと質問したが、マリーニョ氏は「辞任はレナト氏の個人的理由」と強調した。
17年から徐々に、INSSのネット申請が始まった。手続きの迅速化が目的だが、デジタル行政担当特別局長のパウロ・ウェベル氏によると、申請をネットに一本化できないことで、かえって手続きは遅れ、行列が延びている。
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