サンパウロ州のジョアン・ドリア知事は28日、サンパウロ市のリカルド・ガンブルフドン・ドーント識別研究所(IIRGD)内で行われた、顔・生体認識研究所の開所式典に出席。その席で、今年のサンパウロ市カーニバルから、犯罪者や容疑者、逃亡者の顔を警察が特定できるシステムを導入すると発表した。
ドリア知事は、「顔認識システムは今年のカーニバルの警備から使われる。これは重要なステップ」と語った。
昨年サルバドールでは、女装してカーニバルの喧騒に紛れていた殺人容疑者の映像を生で解析して特定し、地元警察が逮捕した。だがサンパウロ市のシステムはそれとは異なる。
サンパウロ市のシステムは、顔認識のための特別な解像度を持つカメラを使わず、生の映像から人を識別できるものでもない。一般の監視カメラと同様の解像度で、映像を停止させ、静止画の状態で解析する。
犯罪行為や、行方不明者、逃亡者と思われる人物を撮影した場合、警察は映像をIIRGDに持ち込み、データベースと比較参照する。
サルバドールでも使われた高性能のシステムは、式典でも紹介された。だがメーカーのタレス・ジェルマート(G)社は「あくまで将来的に導入するデモ機」とした。
G社は新技術の目的を、「民事文書の識別」、「行方不明者の顔写真データバンクの補助」、「犯罪捜査、犯人、および容疑者の特定」の三つだとしている。
G社の代表であるリカルド・セッコ・アボジ氏は、「犯罪容疑者が監視カメラの映像に現れたり、SNSに自分の写真を上げた場合、我々のシステムでは、映像を静止画にしたり、SNS上の写真をコピーして、犯罪者の顔写真リストと照合。その容疑者の顔に似た特徴を持つ人物のリストを警察に提供できる」と語った。
州政府は、カーニバルからの使用に意欲を見せたが、システム導入のためにかかった費用については、明らかにしなかった。