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憩の園=入場券売り切れで2回公演に=歌と芝居で魅せる移民ショー

カラオケ全伯大会の歴代優勝者がズラリと揃った出演者の皆さん

 「公演3週間前に入場券が売り切れました。まったく予想外です。特別に同日午後4時から2度目の公演をやることになりましたが、40%はもう売れました。これ以上は公演を増やせません。ショーを見たい方は早めに事務所でチケットを手に入れてください」――社会福祉法人「救済会」(佐藤直会長)の本田泉(イズム)専任理事は、サンパウロ初開催の慈善歌謡祭「日本移民ショー(各移民には歴史がある。それを音色で知って)」について、そう説明した。

 このショーはただの歌謡祭ではなく、日本移民の歴史を当時の名曲と芝居でたどるショーだ。サントス港で下船する場面や植民地での運動会なども再現され、結婚式の場面では「瀬戸の花嫁」が歌われ、実際の移民の結婚時の写真が大スクリーンに映し出されるという。

 当日はファビオ・トマさんがプロデュースを担当、有名カラオケ大会の優勝者が舞台に勢揃いする。グルッポ・ミツバに加え、イサ・トヨタ、谷川セルジオ、平間パウラ、西村武、水谷ペドロ、岡本明美、水谷エウニセ、高畑正二、山下ヤスミンら豪華コロニア歌手が出演して盛り上げる。

 若くして数々の大会で優勝してきたマット・グロッソ・ド・スル州ドウラードスの平間パウラさん(19、三世)は「おじいちゃん、おばあちゃんの歴史を自分たちが演じられるのは嬉しい。若い世代にも伝えたい」と日本語で意気込んだ。

 サンパウロ市の文協大講堂で2月9日(日)に開催され、午前11時からの回のチケットは売り切れ。午後4時からの分を発売中だ。入場料は35レアル。会場ではお弁当や食べ物の販売もある。すでにアラサツーバ、ビリグイ、ドウラードス、バレトス、ジャボチカバルなどからも団体客が見に来る予定になっている。

 救済会は27日晩、サンパウロ市のニッケイパラセ・ホテルで、入園者やスポンサー企業、出演歌手ら約50人を集めて趣旨説明会を開催し、本田専任理事は冒頭のような喜びのコメントを述べた。ショーの収益は憩の園に寄付される。

 入園者で103歳の大木寿保(としやす)さん(北海道)は背広姿で出席し、「憩の園のためにこのようなショーをしてもらってありがたい。私もぜひ見てみたい」と元気に語った。8歳の時、1924年7月にサントス港着。以来、なんと95年間を当地で過ごす。

 もう一人の入園者、白木国義さんも100歳。福岡県甘木出身で1935年渡伯。1995年に入園し、「とても良いところ。すごく気に入っている。食べ物も環境もみんな良い」と語った。部屋には親鸞聖人の金言が飾られているという。

 元会長の吉安園子さんも「一世の皆さんが懐かしがって楽しめるショー、二世、三世にとっては移民史を知るショーになると思います」とお勧めする。

 入場券は、文協ビル4階の救済会事務所(電話=11・3208・7248/3209・0215)で販売中。ネット(https://tinyurl.com/show-imigracao-japonesa)でも手に入る。

 

 

 

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 憩の園から100歳以上の入園者が、2人も元気に参加した日本移民ショーの説明会。103歳の大木寿保さんに話を聞くと、「父は最初、北米に移住したかったが、日本移民禁止令が1924年に出てダメになった。それで行き先をブラジルに変えて、8歳の時にやってきた。最初はモジアナ線のモンテイロスにあるサンタオリンピア耕地に2年、続いてグァタパラ耕地で2年働き、貯めた資金でソロカバナ線の奥地プレジデンテ・ベンセスラウにようやく自分の土地を買って、これから本格的に開拓して稼ごうという矢先に、父が病気で死んだ」という。「残された家族は、その土地を売って日本に帰ろうとしたが、買い手が現れず、そのまま居残ることに」とも。そのままブラジルに95年――。まさに移民人生そのものだ。