【既報関連】社会経済開発銀行(BNDES)が昨年作成した、「BNDESが2005年から18年にかけて、ブラジル国外で行った8件の投資に関する報告書」の中で「汚職は一切行われていなかった」とされていたことが20日に報じられてから9日後の29日、グスタヴォ・モンテザーノBNDES総裁は、「これ以上明らかにすることはない」と再度述べた。30日付現地各紙・サイトが報じている。
違法性や汚職がないかが精査されたのは、BNDESがJBS、Bertinグループ、Eldorado・ブラジル・セルロース社を通じて行った投資案件だ。
同総裁はまた、「ブラジル自体が汚職を正当化するような、法律、社会規範を作ったのだ」と発言した。
報告書の内容が明るみに出てから、「あの報告書は信用できない」との声が各所からあがっていたが、総裁はそうした批判に対し、「汚職だというなら、ブラジルの法律が許していたからで、BNDESの責任ではない。調べた限りでは汚職はない」と反論する内に、「国が正当化していた」との発言に至った。
また、ボルソナロ大統領は28日に、「調査に4800万レアルもかかったのは奇妙だ」とも発言していたが、同件に関してもモンテザーノ総裁は、調査にかかったのは以前に公表していた4800万レアルではなく、4270万レアルと修正。その理由は為替相場が変動したためと苦しい説明をした。
ボルソナロ大統領は、「BNDESのブラックボックスを開けさせる」の言葉をキャッチフレーズとして、汚職の温床を暴くとのメッセージを打ちだし、それが有権者にも支持されていた。
しかし、モンテザーノ総裁は29日の会見で、「ブラックボックス」の言葉を避け、「不正はなかった」と繰り返した。
ボルソナロ大統領は再調査を行うべきとの意向だが、モンテザーノ総裁側は、「自分の直接の上司はゲデス経済相」としている。
ブリッシュ作戦でBNDESからJ&Fホールディングスへの不正融資を捜査している連邦検察官のイヴァン・マルクス氏は、「汚職を法的に正当化するようなものは何もなかった。BNDES総裁が『汚職は正当化された』というならば、誰がどのようにして正当化したのかを示す必要がある」とした。
BNDESが発表した報告書の対象は、JBSやBertinグループ、Eldorado・ブラジル・セルロース社を通じて行った投資案件だけで、「建設大手オデブレヒト社関連の投資案件も調べるべき」との声もある。BNDESはそれに対し、「オデブレヒト社関連の投資案件を精査する可能性も捨ててはいない」としている。