虎の子のプロジェクトを移管され、部下のスキャンダルも発覚したことで、オニキス・ロレンゾーニ官房長官(民主党・DEM)が大統領府での居場所を失いつつあると、1月31日付フォーリャ紙などが報じている。
昨日付でも報じたように、官房長官代行だったヴィセンテ・サンチーニ氏が、国外での行事に空軍特別機で移動した問題で解任されたことと、自身がかなり思い入れを抱いていた投資パートナー計画(PPI)を経済省に奪われたことで、オニキス氏の権限低下が表面化。現地紙でも「辞任が近いのでは」と報じられるようになっている。
グローボ局は1月31日、休暇を終えて滞在先の米国からブラジリアに戻ってきたオニキス氏に直撃取材したが、同氏は「辞任はありえない」と答えた。「以前から言っているように、自分の任務はボルソナロ大統領とブラジルに仕えることだ」と同氏は強く主張した。
だが、ボルソナロ大統領はこの前日の1月30日に、官房副長官解任後に官房長官付きの外務特別局長に就いたサンチーニ氏と、オニキス氏が官房副長官の後任に選んだフェルナンド・モウラ氏を解任。さらに、オニキス氏の管轄下にあったPPIを経済省の管轄下に移すことも発表した。
オニキス氏は、所属政党こそ違うものの、下院議員の頃から数えると20年以上にわたるボルソナロ氏の親友で、大統領選の頃から、閣僚入りを約束されていた。
また、政権1年目の昨年は、軍人も多い連邦政府内で、政治家側の閣僚の代表的な存在となっており、連邦議会とのパイプ役にもなっていた。
だが、昨年6月に連邦議会側からの批判を受けて、大統領府総務室に議会との交渉(アルチクラソン)役を奪われたあたりから、オニキス氏の大統領府での権限は徐々に弱まっていると、ささやかれはじめていた。今回の部下解任やPPIの管轄移動は、オニキス氏の管轄下にある大統領府法務局の今後にも影響を与えそうだ。
また、フォーリャ紙によると、オニキス氏が昨年中に行った、地方の行政担当者や企業家、民間団体の代表との会合650回のうち、約4分の1の155回は、自身の選挙拠点のあるリオ・グランデ・ド・スル州の関係者とのものだったという。この動きは、2022年に行われる統一選挙で、オニキス氏が同州知事選をにらんでいるゆえのものと見られている。残る700回の会合は、連邦政府関係者とのものだった。
オニキス氏が辞任した場合の後任候補には、現大統領府秘書室長官のルイス・エドゥアルド・ラモス氏らの名前が出ている。また、現在は官房長官付きの大統領府法務部を、大統領府総務室長官のジョルジェ・オリヴェイラ氏の管轄下に戻すことも具体的に検討されはじめているという。