中国発のコロナウイルス危機への恐れにより、ブラジルレアルは大きく値を下げた。1月の最終取引日となった1月31日は1ドル=4・285レアルで終了。1月の米ドルは対レアルで6・81%の値上がりだったと、1日付現地各紙が報じている。
6・81%のドル高は、8・9%高を記録した昨年8月以来の値上がりだ。1ドル=4・285レアルはレアルプラン以降、最もレアルの価値が対ドルで下落(名目値)したことになる。
相場の混乱は株式市場でも起こった。1月31日のサンパウロ株式市場指数(Ibovespa)は11万3761ポイントで終了。1月のブラジル株はマイナス1・63%だった。これは、6・8%マイナスだった2016年1月以来の下げ幅だ。
1月30日に世界保健機関(WHO)が、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」を宣言し、世界各国も感染を防ぐため、中国便の運行を取りやめたり、中国への渡航禁止勧告を出したりしていることで、世界経済への影響を不安視する声が高まり、株安、新興国通貨安につながった。
コロナウイルスに伴う不安は、「中国の需要冷え込み」だけでなく、「多くのメーカーが中国に置いているサプライチェーンの停滞」もある。既に、「影響が長引けば、今年の世界規模GDP成長率にマイナス1%の影響も」と予測する金融機関も出ている。