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《ブラジル》ジカ熱=小頭症児支援の暫定令承認=最賃を生涯年金として支給

ジカ熱感染者の治療や後遺症予防に期待が高まるオメガ3(Robson Moura/TV Brasil)

 上院が5日、ジカ熱感染が原因で生まれた小頭症児に最低賃金一つ分の生涯年金を支払うための暫定令を承認した。これにより、同件は大統領裁可を待つばかりとなったと同日付現地紙サイトが報じた。年金支給の対象は、15年1月~19年12月生まれのジカ熱感染が原因の小頭症児だ。

 ジカ熱に感染した妊婦から生まれた小頭症児に対する支援規定は、昨年9月にボルソナロ大統領が出した暫定令で変更された。従来の規定では、小頭症児を抱える家庭への支援は、1人当たりの収入が最低賃金の4分の1以下の家庭に最低賃金一つ分とされていた。

 小頭症児のいる家庭への支援は、母親が仕事に戻ったりして世帯所得が増えれば恩恵が取り消される継続的分割恩恵(BPC)だった。だが、同暫定令により、1人あたりの収入が最低賃金の4分の1を超えても、年金の形で支援を受けられるようにした。

 暫定令は6カ月以内に承認されないと失効するが、今回の承認により、小頭症児のいる家庭は所得の多寡に関わらず、最低賃金相当の支援を受けられる事になる。対象者も、15~18年生まれの小頭症児から、15~19年生まれの小頭症児に広がった。ただし、国に賠償責任を求めたりすると、受給権を失う。

 

ジカウイルス研究続く

 

 ジカ熱感染や小頭症児誕生に関する研究は現在も続いている。最新の研究はブラジリア大学の免疫と炎症に関する研究所(Limi)が発表したもので、魚などが持ち、悪玉コレステロール削減効果のあるオメガ3に、ジカウイルスが引き起こすニューロン(脳を構成する神経細胞)の炎症抑制効果を認めたものだ。

 ジカウイルスは神経細胞の中のミトコンドリアに損傷を与え、脳炎やギランバレー症候群、小頭症などの神経学的合併症を引き起こす。また、DNA(遺伝子)の破壊や神経細胞の死も招く。

 だが、オメガ3を与えると神経細胞は抗炎症性の保護的な分子を生成し始める。この研究は、15年にペルナンブコ州の患者から採取したウイルスを用いて行われた。

 ジカウイルスは、蚊が媒介する他、性行為や妊婦からの感染例もある。また、男性が不妊症となる例もあり、流行時にはリオ五輪出場を辞退する外国人選手も出た。