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《ブラジル、ミナス州》ダム決壊事故後の増水増幅=汚泥による環境破壊の影響続く

 ブラジル南東部のミナス・ジェライス州では1月24、25日に記録的な大雨が降るなどして水害が広がっているが、同州とエスピリトサント州にまたがるドセ川流域では例年以上の被害が出ているという。

 ドセ川流域では場所により4メートルも増水した所があり、多くの住民が退避を強いられた。ドセ川は、15年11月にマリアナ市で起きたサマルコ社の鉱滓ダム決壊事故で、大量の汚泥が流れ込み、川底が浅くなっている。

 また、昨年1月にブルマジーニョ市で起きたVale社の鉱滓ダム決壊事故で大量の汚泥が流れ込んだパラオペバ川も溢れ、家屋への浸水や住民退避が起きた。

 ミナス州検察局はこれらの状況を懸念し、サマルコ社とVale社に、河川や周辺部に残っている汚泥除去などの対策をとるよう要請した。

 人口24万5千人で、15年のダム決壊後はドセ川からの取水停止も余儀なくされたゴヴェルナドール・ヴァラダーレス市の市長は、4日に出した声明で、川の氾濫で市内や民家に汚泥が流れ込み、約5万人が退避を余儀なくされた上、水が引いた後の清掃も大変だとし、ダム決壊と汚泥堆積により、事故前より被害が深刻化した事は明らかと断言。同市長は緊急事態を宣言すると共に、サマルコ社の賠償責任を問う訴えも起こした。

 サマルコ社は同市が裁判を起こした事に関する言及を避け、ミナス州やエスピリトサント州での降雨量や増水の様子は観察している事や、15年の事故以後、被害を受けたコミュニティーや現場近辺には汚泥の動きを抑制する設備も設置した事を明らかにし、州検察局も諸対策の内容を熟知しているはずと語った。

 ミナス州検察局はカンドンガ水力発電所のダムに堆積した汚泥がドセ川の下流やエスピリトサント州の河口付近にまで及ばぬよう、1千立方メートルの汚泥を取り除いた事も明らかにした。

 カンドンガ発電所の機能の正常化は、サマルコ社や親会社のVele社とBHPビリトン社、連邦政府、ミナス、エスピリトサント両州政府の間の合意事項だが、4年以上経ても、発電所のダムから除去された汚泥は総量の1割に過ぎない。

 ダム被害者運動(MAB)によると、かつてない規模の水害は、エスピリトサント州のコラチーナやリニャーレスといった市でも起きている。

 MABは、ブルマジーショで起きたダム決壊事故で流出した汚泥が、ミナス州内のサンジョアキン・デ・ビカス市やベチン市での洪水を招き、畑などを泥が覆う事態も招いた事にも言及。大量の雨が溜まったために行われたレチロ・バイショ水力発電所のダム放流で放出された汚泥は、下流のトレス・マリアス水力発電所のダムに堆積しているはずだとしている。

 Vale社は、事故後に設営した封じ込め用設備は昨年5月から運用を中止しているが、汚泥除去や水の浄化などには力を注いでいると述べている。(4日付アジェンシア・ブラジルより)