景気回復が緩やかで失業率がなかなか低下しないといわれて久しいが、全国工業連合(CNI)が11日、全国の工場の半数は熟練労働者不足で悩んでいるとの調査結果を発表したと同日付現地紙サイトが報じた。
19年末現在の失業者はまだ1160万人いるが、工場主の2人に1人は、技術や知識を持った熟練労働者を雇うのが困難だと訴えている。
熟練労働者確保に困難を覚えている工場の割合は50%で、11年や13年の66%よりは減った。これは、14年後半~16年に起きた景気後退が原因だ。
工業界の多くは景気後退期に人員整理を余儀なくされたが、最初に整理されたのは単純労働者などで、技術や知識を持つ人は職に止まる割合が高かった。だが、その一方で、職が見つからず、大卒者が高卒レベルの職に応募するなど、学歴を偽ってでも職に就くケースも増えていた。
ブラジルはその後、景気回復期に入ったが、回復促進期に求められるのは生産性の高い労働者で、求職者が企業側の要求するレベルを満たせないケースが出ている。
熟練労働者不足に直面しているのは全ての職種で、生産現場の熟練工が足りないという企業は96%、生産部門の技術者不足を感じている企業も90%に及ぶ。熟練労働者不足を感じる割合は、販売やマーケティング82%、経営管理81%、生産部門のエンジニア77%、管理職75%、調査・開発部門74%と続いている。
CNIは、熟練労働者不足を招いたのは、教育レベルの低下と、高校教育が一般教養化している事と考えている。
教育レベル低下は、19年12月発表の国際学力調査(PISA)で、数学や科学のランキングが落ちた事などからもうかがわれる。
高校教育についてはテメル政権が17年に改革を試み、生徒の興味や関心に応えるため、教育内容に柔軟性を持たせる事や、技能教育や専門知識を持たせるための講座を重視する必要がある事を訴えたが、効果が出てくるのはまだ先だ。
熟練労働者不足を補う方法は、自社で訓練が85%、社外で訓練が42%だった。また、熟練者保留に努めるという会社は28%、教育機関と協力するや自動化に投資も23%ずつあった。