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行政改革PEC=議会提出は遅れる見込み=寄生虫発言への反発も=地方選が二の足踏ませる=経済官僚「やることはやった」

パウロ・ゲデス経済相(Tania Rego/Ag. Brasil)

 昨年成功させた社会保障制度改革に続き、ボルソナロ政権が今年の成立を狙っていた行政改革は、前途多難な様相だ。「ボルソナロ政権は、行政改革の憲法改正案(行革PEC)を今のタイミングでは議会に提出しない方針」と、12日付現地各紙が報じた。

 行革PECには公務員の待遇変更などが含まれている。「待遇変更」は事実上のリストラで、行政スリム化に執心するパウロ・ゲデス経済相は7日、行革PECの成立を焦る余り、「公務員は国に巣食う寄生虫」と発言し、批判を浴びていた。
 ジョルジ・オリヴェイラ大統領府総務室長官は、「行革PECの提出期限を焦って決める必要はないのではないか」とエスタード(E)紙の取材に対し、発言した。ある経済省スタッフは、「行革PECの内容はほぼ固まっていたが、提出延期は政治的判断」と語った。ボルソナロ大統領がGOサインを出していない項目もいくつかある模様だ。
 また、ブラジル総人口2億900万人中、公務員は1200万人だが、彼らの政治力は人数(総人口の5・7%)以上のものがある事も、性急な行革PEC推進を思いとどまらせた可能性がある。
 ボルソナロ政権は数カ月にわたり、行革PECを練り上げており、6日にはボルソナロ大統領が、「提出はもうすぐ」と語っていた。しかし、翌7日の経済相による、「寄生虫」発言に対する反発は大きく、10日に謝罪に追い込まれた。
 PEC提出が当初の予定通りに進んでいないのは、もっと前からのことだ。1月14日にゲデス経済相は、「PECは2月の頭までに提出されるだろう」と語っていた。
 PEC提出のタイミングについて、政府は議会の重鎮たちと話し合ったが、その中で、「今年は10月に地方選が控えており、国民に痛みを強いるPECは議会を通らない可能性がある」と警告された。行革PECでリストラ対象となるのは国家公務員だけでなく、地方公務員も含まれる。
 E紙はまた、「経済省スタッフの間には、『やるべきことはやった』との空気が漂っている」とも報じた。経済省スタッフは、行革は国家財政健全化のために不可欠な政策と考え、昨年中に具体案を作成した。法案をどのタイミングで議会に送るかはボルソナロ大統領次第だとしている。
 大統領府も、今年10月に選挙があるのでPEC提出に慎重になっていることを認めている。公務員団体は連邦議会への影響力も大きいので、難しさもひとしおだ。
 昨年成立した社会保障制度改革に引き続き、行政改革も行うことで財政健全化を狙うゲデス経済相は、ボルソナロ大統領に「国民の88%が行革に賛成している」とのデータを示し、議会への法案提出、その後のアルチクラソン(多数派工作)に踏み切るように促すつもりだ。