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「陸のわかめ」生産発売開始=ミナス食材オラ・プロ・ノビス

オラ・プロ・ノビスの葉と新芽

 ブラジルのメディアではよく紹介されているにも関わらず、ほとんど市場で見かけることのない食材に「オラ・プロ・ノビス」がある。その葉は、濃い緑とねばねばした食感が特徴で、「陸のわかめ」という表現が最適。
 プロテインの含有率が約25パーセント、豊富なビタミン、ミネラルが含まれる事でも知られる。その「スーパーフード」としての可能性に魅せられ、オラ・プロ・ノビスを生産、その葉と新芽を販売し始めたのがオラ・プロ・ノビス・リモン社(中沢宏一代表)だ。
 同社によるプレゼンテーションと試食会が7日午前11時から、サンパウロ市リベルダーデ区のフローラ・オリジナル社(福本利道社長)で開催された。
 ラテン語で「我々のために祈り給え」の意味を持つ同植物は、ミナス料理の名食材だ。ミナス・ジェライス州サバラ市.ではオラ・プロ・ノビスのフェスタが開催されるほど。
 昔から教会にもよく植えられ、「カルネ・デ・ポブレ(貧者の肉)」「カルネ・デ・ベルジ(緑の肉)」との異名を持ち、鶏肉と煮込んだり、葉を炒めたりして庶民層の間で食べられてきた。研究報告では、豊富な栄養素と農薬不使用で栽培できるということが示され、ブラジル政府やエンブラパ(ブラジル農牧調査研究公社)も奨励している。

オラ・プロ・ノビスの紹介を行う中沢宏一さん

 中沢さんがオラ・プロ・ノビスを知ったのは5年前。ミナス・ジェライス州の農家から苗をもらった。最初はその価値が分からないまま庭に植えていたが、2年前に日本から来た知人にサラダに混ぜて食べてもらったところ、「わかめにそっくり」と大変喜ばれた。
 76歳になる中沢さんは「何か健康に良いものを一つ残そう」と思い立ち、日本人にも喜ばれると知ってオラ・プロ・ノビスの栽培を決意した。1年半前にアチバイア市の1ヘクタールの土地に約1万本を植えた。
 「この植物は『ブラジルの宝物』だという認識を持っている。これを食べて自分の体で実験しているが、最近は薬いらずで血圧も上がらない。天然の消化酵素が多く含まれているため、昼食に肉を食べても午後3時になるとお腹がすいてくる。最近は体重も62キロに維持でき、体力も衰えず、エンシャーダ(鍬)をひっぱっても疲れない」と中沢さんは話す。

オラ・プロ・ノビスを使った料理を試食する人々

 オラ・プロ・ノビスの難点は、油断すると短期間で伸び放題となり、枝にはトゲがあること。収穫時に怪我をしないように細心の注意を払わなければならない。これゆえ、あまり市場で扱われてこなかったようだ。
 「ブラジル人は収穫時にナイフを使うが、日本人はハサミを使う。それでトゲの問題も克服しやすいし、トゲのないタイプのオラ・プロ・ノビスもある。我々の手で将来有望な植物に育てていきたい」と中沢さんは気合いを入れる。
 フローラ・オリジナル社が用意した試食は、オラ・プロ・ノビスを使ったサラダやたけのこの煮物、みょうがのきんぴら、ゴーヤーチャンプルー、みそ汁など。和食にもなじんでおいしく食べられ、お代わりする参加者の姿も多く見られた。
 購入希望者や問い合わせは熟連事務所(11・3209・5935)、フローラ・オリジナル社(11・3203・0666)まで。


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 ミナス料理で親しまれる食材オラ・プロ・ノビスは、アメリカ大陸に13種類ほどが原生する。ブラジルで主に食用とされているのはクリーム色の花が咲く種類。オラ・プロ・ノビスを生産販売するオラ・プロ・ノビス・リモン社の社名は、食べると少しレモンの様な酸味があるという事に由来し、最後にレモンが付けられたとか。「味噌汁にいれるとワカメみたいになる」との話もあり、天ぷらにする人も。生以外でもいろいろ料理に使える食材だ。熟連では一袋150グラム入りを10レアルで販売中。使う人が増えれば、さらに安くなるかも。