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州知事がボルソナロに抗議声明=一家絡みのミリシア殺害で=責任をPT知事に転嫁=22年選挙での対立候補多数

11日の州知事会議の様子(GOVERJ)

 自分の一家も関係がささやかれていたミリシアのアドリアノ・ダ・ノブレガ容疑者が殺害されたことを、ボルソナロ大統領がバイア州知事の責任と決め付ける発言をした。それに強い違和感を覚えた全国の知事20人が、文書での抗議を行った。18日付現地紙が報じている。

 9日に逃亡先のバイア州で、捜査を行っていたリオ州市警と、バイア州軍警に囲まれ、殺害された元軍警のアドリアノ容疑者は、大統領長男フラヴィオ上議がリオ州議時代に2度表彰している。同上議は同じくリオ州議時代に、同氏の母と姉を自身の秘書室の幽霊職員(ラランジャ)として雇い、彼らの給料を同じく幽霊職員のファブリシオ・ケイロス氏にほぼ全額振り込ませていた「ラシャジーニョ」の疑惑を持たれていた。
 ボルソナロ氏自身も2005年の下議時代に、軍警時代に殺害を犯したアドリアノ容疑者を下院の席で擁護している。
 アドリアノ容疑者は殺害される直前に、「証拠隠滅のために殺される」と怯え、夫婦揃って弁護士を訪れていた。また、捜査の当日も、警官到着後、きわめて短い時間で致命傷を負い、病院到着前に死亡した上、隠れ家に残っていた弾痕が少ないなど、不審な点がささやかれていた。
 だが、ボルソナロ大統領は15日、そうした疑惑に関して、「労働者党(PT)の軍警がやったことだ」として、ボルソナロ氏の最大対立勢力である同党のルイ・コスタ同州知事を批判した。
 さらにその際、今回のバイア州軍警の行動を、2002年に大サンパウロ市圏サントアンドレ市で起きた、同市市長だったセウソ・ダニエル氏(PT)殺害事件と結びつけるなど、自身の一家に降りかかりそうな事件の責任を政敵に転嫁した。
 すると、その発言後すぐ、コスタ氏を擁護する動きが各州知事らの運営するワッツアップ内から起こった。ワッツアップ内では、マリエレ・フランコ元市議殺害事件に関連し、コンドミニアムの門番の証言内容を漏らしたと批判されたリオ州のウィルソン・ヴィッツェル知事はじめ、全国のほぼ全ての知事から大統領批判的発言が流れた。
 また、17日には、全国20州の知事たちが署名した、「大統領の最近の発言はブラジルの民主主義の進歩には何も寄与しない」とする抗議声明が提出された。署名しなかったのは大統領の前党の社会自由党(PSL)と連邦政府に閣僚を擁す民主党(DEM)の知事がほとんどだった。
 また、知事たちは、大統領が5日に行った「知事たちが燃料に関する収税をゼロにするなら連邦税をゼロにする」との発言も「州への干渉」として改めて批判した。
 知事たちの中には、コスタ氏やヴィッツェル氏をはじめ、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事やマラニョン州のフラヴィオ・ジノ知事など、2022年の大統領選出馬の噂のある人も少なくない。
 知事たちは声明で、4月の全国知事フォーラム(14日)への大統領の出席も促した。