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《ブラジル》ボルソナロ大統領が「性交渉と引き換えに特ダネを取る女」と、女性ジャーナリストを侮辱

18日のボルソナロ氏(Marcos Corrêa/PR)

 18日、ボルソナロ大統領がフォーリャ紙の女性記者に関して行った、「性交渉と引き換えに特ダネを求めた」をはじめとする誹謗中傷発言が強い波紋を投げかけ、抗議が殺到している。19日付現地紙が報じている。

 事の発端は18日、ボルソナロ大統領が自身の支持者の前でフォーリャ紙の記者パトリシア・カンポス・メロ氏に関して語ったものだ。大統領は同氏に関して、「彼女は特ダネをつかむためならなんでもする」と言って煽った。
 これは、先週行われたフェイクニュースに関する上下両院合同調査委員会(CPMI)で、「ヤコウズ」元社員のハンス・リヴェール・ド・リオ・ナシメント氏が、「パトリシア氏が性交渉と引き換えに特ダネを求めたように感じた」と発言したのに由来する。ヤコウズは、パトリシア氏が2018年に報じた「大統領選期間中に、他の政治家に関する虚偽情報をワッツアップで大量に流し、ボルソナロ氏が有利になるように仕向けた」企業の一つで、ナシメント氏はこの件に関して証言を行うためにCPMIに召喚されていた。
 フォーリャ紙はその直後、録音記録や文書を示し、そのような事実はなかったと報道した。
 だが、ボルソナロ氏はナシメント氏の発言を信じるかのような言い回しを大勢の人の前で行った上、「ナシメント氏は2018年末にも証言を行っている。別のテープでは、彼女は『自分は労働者党(PT)員だ』と言ったらしいぞ」とも語った。
 ナシメント氏は2018年12月に検察で事情聴取を受けたが、この時の供述内容はまだ公開許可が下りていない。
 これを受け、フォーリャ紙が抗議声明を出したのをはじめ、ブラジル調査報道協会(ABRAJI)とブラジル弁護士会(OAB)が共同で、「大統領の発言は民主主義の原則に沿うものではない」と抗議した。
 下院では18日夜、大統領発言に対し、フェルナンダ・メルシオーナ下議(社会主義自由党・PSOL)やグレイシ・ホフマン下議(PT)をはじめとする女性議員たちが、大統領による女性蔑視と報道の自由への攻撃に対する抗議声明を読み上げた。
 これに対し、大統領三男のエドゥアルド下議が、自身の所属政党・社会自由党(PSL)の女性下議5人をひきつれて、大統領を擁護する言動を行った。
 ただ、今回の大統領発言は国民、とりわけ女性たちからの受けが悪く、ツイッター上では「ボルソナロ罷免」が、最も多く論じられた出来事の上位に入った。ジウマ大統領の罷免請求を行ったメンバーの一人で法学者のミゲル・レアレ氏も、自身はこの件で罷免請求は出さないとしながらも、ボルソナロ大統領の発言は「大統領としての責任をないがしろにしただけでなく、あらゆる人に要求される節度を超えている」との解釈を示した。