自分を擁護する右派国民による反連邦議会、反最高裁の抗議集会を呼びかけるビデオを、ボルソナロ大統領が複数回ネットなどで拡散したことが、政界や司法界に大きな波紋を投げかけている。27日付現地紙が報じている。
事の発端は、ボルソナロ氏がカーニバル期間前に、確認されているだけでも、少なくともアルベルト・フラガ元下議、ジョルジェ・セイフ水産局長といった親しい人物に、3月15日に右翼グループが行う予定だという「反議会、反最高裁」のビデオをワッツアップで拡散していたことが発覚したことだ。同種のビデオや写真は25日に爆発的に拡散された。
公式メディアも使って拡散されたビデオには、「国を救う男」「愛国者で汚職のないキリスト教徒」と、ボルソナロ氏を崇拝するように称えたものもあった。
この行為が25日付現地紙サイトで報道されると、「行政、立法、司法」の三権分立の原則を踏みにじるものとして、議会や最高裁のみならず、政界や国民からも、一様に強い不快感が示された。
ロドリゴ・マイア下院議長は「三権分立の原理を脅かすことは国の発展になんら進展をもたらさない」「ましてや、そのの長たる人物は、その原理の見本とならなければならない」として、大統領を批判した。ダヴィ・アルコルンブレ上院議長は無言のままだ。
また、最高裁長老のセウソ・デ・メロ判事は、「もしこの事実が本当なら、大統領は憲法も三権分立も尊重しないということになる」と厳しく批判。ジウマール・メンデス判事やジアス・トフォリ長官もそれに続いた。
さらに、歴代の大統領からも強い反発が相次いだ。カルドーゾ元大統領は「これは民主主義の危機だ。黙っていてはいけない。反対の叫びを上げろ」、ルーラ元大統領は「民主主義が攻撃される前に、議会をはじめとした機関や社会は今すぐ自身の意見を示せ」、ジウマ元大統領は「国が独裁政治に沈んでしまわないように強い返答を示さなければならない」と、ツイートした。
ネット上でも、ボルソナロ大統領の罷免を呼びかける動きがこれまでにないほど起きており、アレッシャンドレ・フロッタ下議などは弁護士と共に罷免請求を作成する意向を示している。
ボルソナロ大統領はこうした反応に、「ワッツアップで数10人に送っただけ」と反論し、ルイス・フェルナンド・ラモス大統領府秘書室長官も、「自身を称えるビデオの内容に興奮しただけで三権分立攻撃ではない」と騒ぎを鎮めようとしている。
また、抗議集会の宣伝に名前や写真が使われたアウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官をはじめとした軍人閣僚らは、「何の許可も出していない」と困惑している。