ブラジル連邦政府が、今年度予算の300億レアル分の裁量権確保のために、上院の助力を必要としていると、3日付現地各紙・サイトが報じた。
昨年12月、政府が出した予算案には議会の要求に応えるための費用として69億レアルが計上されていた。この金額は、議員割当金の他、予算案の報告官の裁量に任される支出、議員団(前線)の要請する支出、両院合同委員会が要請する支出を含んでいるが、議員たちはこれを不服として462億レアルに引き上げた。また、議会が承認した議員割当金の支出を、政府が必ず支払わなければならない「政府の義務的支出」とするとの法案も承認していた。
ボルソナロ大統領は年明けの1月に予算案を裁可したが、いくつかの点には拒否権を行使した。その中の一つは、予算案の報告官を務める下議によって配分される300億レアルの扱いだ。
大多数の下議たちは、この300億レアルは議会の管理下に置いたままにしたいと思っているが、上議たちは、この金の使い道は、連邦政府に決めさせるべきとの立場だ。
3日には上下両院の合同本会議が開かれ、ボルソナロ大統領の行った拒否をそのまま認めるか、再度拒否するかについて、審議が行われた。
報告官の裁量に任せる金は、一見、議員たちの声を公平に聞いて配分されるから良いと思える。だが、上院がそれに反対しているのには理由がある。州議や市議らが連邦下議の真似をして、自治体予算の一部を自分たちの自由に使おうとすることを恐れているのだ。
大統領、州知事、市長は、議会と駆け引き、取引をする際、自分たちの通したい法案、条例への賛成と引き換えに議員たちへの割り当て金などの供出を認めている。
連邦予算基本法(LDO)を承認する際に大幅に増えた300億レアルは、報告官のドミンゴス・ネット下議(社会民主党・PSD)の采配の下に置かれる。
ドミンゴス下議は「300億レアルの用途については上議からも下議からも平等に要望を聞く」と言うが、上議たちは下議たちの要望ばかり通すのではないかとの疑念も抱いている。
他方、2月にアウグスト・エレーノ大統領府安全保障室長官がルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官やパウロ・ゲデス経済相と行った会合の場で、「ゆすり屋の議員ども、クソ食らえ(Foda Se)」と発言したことで、議会と政府の関係は緊張感を増している。
ボルソナロ大統領は公認の所属政党がなく、議会内の支持基盤もない。また、最近は、議会や裁判所を攻撃し、自分を盲目的に称える動画をインターネット上で拡散したりして、議会からの反発も高まっている。
大統領は2日に、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(民主党・DEM)と会談し、関係改善に務めたが、同議長ははっきりと、「これ以上の議会への攻撃は許容できない」と伝えている。