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《ブラジル》セアラー州=軍警スト収束は誰のおかげ?=連邦と州が手柄の取り合い=殺人激増の責任はどこに

モロ法相(Lula Marques)

 【既報関連】1日に収束したセアラー州の軍警ストに関し、セルジオ・モロ法相が、スト中に241人が殺人事件の犠牲になったにも関わらず、「連邦政府は良心をもって対処した」「連邦政府が介入することによってはじめて解決できた」と発言し、波紋を広げている。3日付現地紙が報じている。
 1日夜、モロ法相はツイッター上で、「連邦政府はセアラー州の軍警スト開始直後から、州政府の立場を重んじ、かつ、法の許す範囲内で極端なことをせず、良心をもって臨んだ」と発言。さらに、2月19日にストをやめさせようと強行にバリケード突破を試み、銃弾を浴びて負傷した元同州知事のシジ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)を皮肉り、「警官を攻撃したりすれば混乱を大きくするだけだが、問題は解決した」と発言した。
 これに対し、シジ氏の兄で2018年の大統領選で3位に入ったシロ・ゴメス氏(PDT)は2日、「ボルソナロとモロに告ぐ。軍警ストの期間中、セアラーは最悪の地獄だったよ」とツイッターで発言した。
 セアラー州では、スト期間中の2月19~27日に起きた殺人事件で、241人が命を落としている。これは1日に平均すると26・7人。同州では2月1~18日にも164人が殺されたが、これは1日の平均に直すと約9人。1日の平均で見た殺人事件の犠牲者は3倍近くにはねあがっていたことになる。
 また、ストの終結そのものも、セアラー州政府と州議会、州地裁からなる「州三権」による交渉団(交渉には軍も参加)の提案を軍警側がのんだために起こったものだ。
 また、同州のカミロ・サンタナ知事(労働者党・PT)は他州の知事の協力も借り、法と治安保障作戦(GLO)の期間を延長させてもいる。
 サンタナ知事は、モロ法相が揶揄したスト中止を求めたブルドーザーでのバリケード突破の試みも擁護している。
 モロ法相は判事出身だが、かねてから警察組織には甘い側面があると言われており、汚職防止法では、警察官による殺害への罰則の恩赦も規程しようとした経緯がある。なお、軍警によるストは憲法で禁止されている違法行為だ。
 テメル政権時代に治安相をつとめたラウル・ジュングマン氏は3日付フォーリャ紙に手記を寄せ、「治安関係者のストは、社会、政府、警察、民主主義にとって、重大な危機を招きかねないもの」と、厳しい口調で批判を行っている。