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サンパウロ州=海岸部豪雨の死者28人に=州内の雨の死者昨年を超える

土砂崩れの現場で救出作業を続ける消防士達(Glauber Bedini/Govesp)

 【既報関連】2日夜から3日にかけて、記録的な豪雨に襲われたサンパウロ州バイシャーダ・サンチスタ(海岸部)では、水害による死者が、5日夕方の時点で28人に増えた。消防と地元住民はまだ、行方不明者42人の救出作業を継続中と5日付現地紙サイトが報じた。
 豪雨による犠牲者は、七つの丘で土砂崩れが起きたグアルジャーが最も多く、23人に達した。また、サントスは3人、サンヴィセンテは2人となっている。
 24時間の降水量は、グアルジャー320ミリ(3月の月間平均263ミリ、以下同)、サントス239ミリ(257ミリ)、サンヴィセンテ207ミリ(257ミリ)で、たった1日で1カ月分近い、またはそれを上回る雨が降った。
 サンパウロ州のジョアン・ドリア知事は3日に現地を訪れ、家屋を失った人々への家賃支援制度採用などを明言。15・6トンの支援物資も準備された。
 連邦政府も5日、グアルジャーは非常事態、サントスとサンヴィセンテは緊急事態である事を認め、官報に掲載した。
 今回の豪雨では、各地で洪水や土砂崩れ、倒木などが起き、高速道を含む幹線道路が一部封鎖された。さらに、公共交通機関や教育機関、水や電気、電話などのサービスも止まったりした。

仲間の手で消防車に載せられ、埋葬に向かう殉職者のモラエス氏の遺体(Cabo PM Alex Rodrigues)

 土砂崩れが発生した地区の住民や消防は、3日未明から救出作業を開始したが、海岸部は2月末から雨が続き、大量の雨で地盤が緩んでいる。2月26日からの累積が約670ミリに達したグアルジャーでは、赤ん坊と母親を救出しようとして新たな土砂崩れに巻き込まれた消防士が殉職した例も出たが、海岸部全体はいつでも土砂崩れや家屋倒壊が起こり得る状態で、予断を許さない。
 九死に一生を得た被災地区住民達は、危険区域だと警告するだけで、住む場所などは提供しない行政のあり方への不満も漏らしている。サンパウロ州の水害犠牲者は既に52人に達し、昨年の41人を大幅に上回る勢いだ。
 平年の降水量以上の雨と多数の死者という傾向は南東部共通で、2月の場合、南東部4州の州都ではどこも、平均降水量を超える雨を見た。リオ州での死者は11人で昨年の16人以下だが、エスピリトサント州の死者は15人で昨年の2倍強、ミナス州は72人で昨年の4倍など、各地で被害が広がっている。