[既報関連]9日のブラジルの株式市場は、22年ぶりとなる12・1%の大暴落を記録。これにより、ペトロブラスの株価が28・30%下落したのをはじめ、国を代表する諸企業にも大きな影響が生じた。また、レアルも最安値を更新し、1ドル=4・72レアルを記録した。10日付現地紙が報じている。
9日の世界的な株暴落の要因は、コロナウイルスの感染拡大と、原油の国際価格下落だ。
そのため、米国のナスダックが7・29%、英国のFTSE100が7・69%、ドイツのDAXが7・94%、フランスのCAC40が8・39%、それぞれ下がったが、ブラジルのサンパウロ市平均株価指数(Ibovespa)は12・17%減を記録した。この数字は、コロナウイルスで北部1600万人への隔離指令が出たイタリアのFTSE MIBの11・17%減も上回った。
この落ち幅はカルドーゾ政権の1998年9月に記録した15・8%に次ぐもので、1日の下げ幅としては今世紀最大となった。
これに伴い、国内の大手企業の株も暴落した。株価暴落がもっとも激しかったのはペトロブラスの28・30%減だ。ここまでの落ち込みは9・11テロで米国とイラクとの間に緊張が走った2001年以来となる。
その他、鉄鋼関係ではCSNが23・94%、ジェルダウが16・72%、ヴァーレが15・38%下落。航空関係でも、アズルが18・65%、GOLが18・47%、銀行関係は、ブラデスコが7・20%、イタウ・ウニバンコが7・13%下落した。
この日に失った資産の大きさは、ペトロブラスが1億9100万レアルと最も大きく、ブラデスコの8234万2千レアル、ヴァーレの7933万4千レアルなどが続いている。
ペトロブラスの場合、原油価格下落は、ロイヤルティや州税の商品流通サービス税(ICMS)に跳ね返ってくる。
BV銀行のエコノミスト、ロベルト・パドヴァニ氏は、「こうした株の暴落現象は米国ではよく見られるものだが、ブラジルではこれまでなかったものだ」として警鐘を鳴らしている。
また、この日はレアル安も進み、史上最安値を更新する1ドル=4・72レアルでひけた。一時は4・70台後半にも突入し、中銀が35億ドルの売り介入を行って鎮めた結果だ。
なお、10日午後5時半現在のドルは前日比1・691%安の4・6457レアル、Ibovespaは7・14%高の9万2214・47ポイントとなっている。