ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》WHOのパンデミック宣言で株式大暴落=1週間で2度目、サンパウロ株式市場初=原油急落で歳出制限検討の最中

《ブラジル》WHOのパンデミック宣言で株式大暴落=1週間で2度目、サンパウロ株式市場初=原油急落で歳出制限検討の最中

ゲデス経済相(Wilson Dias/Agência Brasil)

 11日午後、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界流行)宣言を行ったことを受け、サンパウロ株式市場が再び大暴落した。1週間のうちに2度目のサーキット・ブレーカー発動は同株式市場初。宣言発表直後の午後3時14分には株式指数が10%以上落ち、9日に続くサーキット・ブレーカー発動となった。9日に起きた今世紀最大の株価大暴落の原因にもなった原油価格の急激な下落の後、10日にいったん約7%回復したが、翌11日に最大時で12%の再暴落となった。9~10日の混乱を受け、ゲデス経済相らが対応策を練っていた矢先の出来事だった。

 11日17時現在、為替もドル高が進んでおり、為替は1ドル=4・72レアル、株式指数は少し戻して8・53%減の8万4348・7ポイントとなった。
 ペトロブラスやヴァーレ社などの資源株を筆頭とする9日の暴落を受け、10日からパウロ・ゲデス経済相を頭とする経済スタッフは、「経済立て直しには基礎的財政収支の目標を守るための歳出制限が最優先」と考えて対策を練っていた矢先だったと、11日付伯字紙が報じている。
 今年の連邦政府の基礎的財政収支目標は1241億レアルの赤字で、この額を上回れば、財政責任法に問われる。だがこの額は、原油価格をブレント原油の場合で1バレル58・96ドルと設定して算出している。昨年末日現在のブレント原油の価格は1バレル66ドルだった。
 だが、石油輸出国機構(OPEC)とロシアの間の原油減産に関する協議が不調に終わり、先週末、サウジアラビアが原油価格値下げと原油増産の意向を発表し、国際市場に混乱が走った。
 アジア時間の9日午前(ブラジルでは8日夜)のブレント先物価格は一時、1バレル31ドルまで落ち込み、10日時点でも1バレル37・22ドルをつけている。11日もブラジリア時間の正午現在で1バレル36・32ドルとなっており、連邦政府が想定した額と20ドル以上の差がある。
 ペトロブラスの原油は採掘コストが高い岩塩層下油田のために、価格が安くなると採算が取れなくなる。専門家によると、原油価格が10ドル違うと、国の財政に100億レアル分の損失をもたらすという。半分の50億レアルは国庫に対する打撃となり、残り半分は地方財政を直撃する。
 原油市場での混乱を受けて、経済スタッフは対策に動きはじめた。バルデリー・ロドリゲス経済省特別局長は、基礎的財政収支の算出に使った原油価格を修正し、国内総生産(GDP)成長率も見直すとしている。
 政府は今年の国内総生産(GDP)成長率を2・32%に設定して予算案を作成したが、コロナウイルスなどの影響を加味した金融機関関係者の予想は、9日発表の動向調査で既に1・99%。今回の原油下落や株式暴落が加われば、さらに減少する見込みだ。
 連邦政府は今年度、歳出や投資分として1263億レアルを計上しているが、ロイヤルティや税収が減れば一部予算凍結が必要となる。
 パウロ・ゲデス経済相は、コロナウイルス、原油価格問題という緊急事態に直面したことを理由に、「連邦議会は行政、税制改革を優先的に扱うべきだ」と主張している。