【既報関連】新型コロナウイルス感染症(COVID―19)患者が世界中で増え続ける中、世界保健機関(WHO)が11日にパンデミック(世界流行)宣言を出した。ブラジル政府は保健省を中心に、毎年12月に実施される各種学校の夏休みを、冬に前倒しする可能性も含めた協議に入る。政府はこのまま感染者が増え続けると、国の医療システム全体に影響を及ぼしかねないと警戒を強めてもいると、11日付ブラジル各紙・サイトが報じた。
WHOの最新データによると、感染は世界114カ国に広がっており、感染者は11万8千人、死者は4291人出ている。テドロス・アダノムWHO事務局長は、「パンデミックという言葉が間違って使われると、過剰な恐怖心を引き起こし、本来起こるはずのなかった苦しみや死を世界規模で招く可能性がある。現状のコロナウイルスによる災禍は、世界中、全ての国々の政治、経済、保健など、様々な部門に影響を与えうる危機」と語った。
ブラジル保健省は、感染拡大を防ぐため、毎年7月の冬休みの期間を延長する可能性も検討している。保健省スタッフは、新型コロナウイルスの感染を少しでも抑えるための方策を検討している。学校の休みを動かすことは、その一部だ。
10日午後4時の保健省発表によれば、ブラジル国内のCOVID―19感染者34人中、29人は国外旅行中に感染し、帰国後に感染が判明した。残る5人は、国外からウイルスを持ち込んだ人とブラジル国内で接触して感染した国内感染者だ。同省の見解では、ブラジルではまだ、不特定多数の人が接触したりして起きる集団感染発生の証拠はない。
保健省は最悪のシナリオとして、今後2週間半にわたって新型コロナの感染者が増え、さらに8週間程度、感染拡大が続くことも想定している。その場合、各医療機関は、COVID―19だけでなく、季節的に増えてくるインフルエンザへの対応にも迫られることとなる。
保健省は、公的医療システム(SUS)にも参加している病院の中でも特に質の高い、シリオ・リバネス、アインシュタイン、オズワルド・クルス、HCor(サンパウロ市)、モイーニョス・デ・ヴェント(ポルト・アレグレ市)の5病院に対し、現在SUSの対応に割いている人員や医療資材をコロナ対策にも割くようにとの要請を行った。
なお、11日午後5時のブラジル保健省の最新発表によれば、国内のコロナウイルス感染確認者数は、前日発表から18人増えて、連邦直轄区(DF)とその他7州で52人、擬似症で検査中は907人、検査の結果、感染なしとされたのは935人となった。