訪米に同行した政府関係者が新型コロナウイルスに感染したことが判明したため、ボルソナロ大統領も12日にコロナウイルスへの感染の有無確認のための検査を受けたが、13日に検査結果が出て、陰性であることが明らかになった。だが、結果公表の前に、大統領三男エドァウルド下議の言葉を信じた米国メディアが「感染した」との誤報を流し、混乱を招いた。13日付のブラジル国内ニュースサイトが報じている。
大統領の訪米に同行していたファビオ・ワインガルテン社会通信局長のコロナウイルス感染が明らかになったことで、12日は、連邦政府内に緊張が走っていた。
訪米中、ワインガルテン氏と何度も接触していた大統領夫妻や閣僚らも急遽、検査を受け、その結果は13日に出ると発表されていた。
大統領は12日夜、恒例となっているネットでの生放送に、ルイス・エンリケ・マンデッタ保健相と共に出演した。大統領は訪米中も「コロナウイルス流行はマスコミがまくし立てているだけ」と発言し、事態を楽観視していたが、12日は手話通訳者も含めた出演者全員が、顔にマスクをつけていた。
ボルソナロ氏はこの放送で、15日に予定されている反連邦議会・反最高裁のデモに言及し、「コロナウイルスのこともあるので、デモは別の機会に延期しろ」と視聴者に呼びかけた。
13日は午前中から、大統領の感染の有無に国民の関心が注がれており、午前11時頃、いったん「陽性反応が出た」との報道があった。
ただ、ブラジル国内でそれを報じたのは「オ・ジア」紙のみで、それも、「最初の検査で陽性だった」と報じたのみだった。
それよりも反応が大きかったのは、その数10分後に行われた、米国のFOXニュースによる「ボルソナロ氏に陽性反応」との報道だった。同局ニュースが、以前に出演経験のある三男エドゥアルド氏に連絡を取り、取材した結果、「陽性反応が出た」との発言が得られたとして報じたものだ。これを信じたメディアは、国際的に同様の報道を行った。
だが、12時30分過ぎに現地紙サイトが一斉に、「ボルソナロ氏は陰性だった」と報道。大統領自身もツイッターで、「陰性だった」と報告した上、「メディアが嘘を報じた」と書き、ネットで支持者たちを煽った。
「あくまでエドゥアルド氏の発言を基にした」と主張するFOXニュースは、生放送でエドゥアルド氏に直撃取材し、事の真相を確かめようとしたが、エドゥアルド氏が「陽性だったとの情報は流していない」と反論。騒動の真相は煙に巻かれた状態になった。
なお、同じく訪米し、検査を受けたミシェレ夫人やエドァウルド氏、アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官も陰性だった。