ブラジルの社会保障制度、低所得高齢者や身障者の特別恩給(BPC)に関して、ボルソナロ大統領が行使した拒否権が、11日の両院合同本会議で否決された。歳出が増えることに憤慨したパウロ・ゲデス経済相は翌12日、最高裁や会計検査院(TCU)に訴えると語ったと、11~13日付現地各紙・サイトが報じた。
BPCに関する大統領の拒否権行使を認めるか否かを諮る11日の両院合同本会議で、上院は45対14、下院は302対137で大統領の拒否を拒否した。
BPC受給資格は、拒否権行使によって、「世帯1人あたりの収入が最低賃の4分の1以下の高齢者または障がい者」となっていたが、拒否の拒否により、議会が法案を承認した時点の「世帯1人あたりの収入が最低賃の2分の1以下の高齢者または障がい者」に変更された。
これにより、BPCを受け取れる人が増え、政府支出は1年あたりおよそ200億レアル増えることとなった。フォーリャ紙は、大統領の拒否が拒否されたことで、政府支出は向こう10年間で2170億レアル増えると試算している。
パウロ・ゲデス経済相は、「最高裁とTCUに持っていく。財源も示さずに年間200億レアルの支出を増やすことは、財政責任法が許さない。違法行為を行うわけには行かない」と語っている。