生長の家ブラジル伝道本部に新時代が到来した。3月1日から初めての非日系人、ジョゼ・アダウトン・デ・オリベイラ氏(50)が理事長に就任した。3月3日に村上真理枝元理事長に伴われて来社し、「生長の家の教えが広まるほどブラジル社会は良くなる。まだ知らない人がたくさんいる。教えの良さを体験できる場をもっと提供して社会により大きな影響を与えたい」との抱負を語った。
オリベイラ新理事長はパラナ州マンダグアス市生まれ。コーヒー農園で20歳まで過ごし、サンパウロに出た後に、すでに信仰していた叔父から月刊誌「Fonte de Luz(光の泉)」をもらって目覚め、1990年1月に青年会に入った。「元々はカトリック信仰だったが、両親や祖先に対する敬意、神の子としての自覚、環境意識の強さに魅かれ、青年部に入会して信仰を深めた」。
信仰を強めた結果、25年前に会計士の資格を取って事務所に就職して幹部にまで昇進し、12年前に独立。日系進出企業も多くクライアントに抱える会計コンサルタント事務所「Movidata Contabilidade Empresarial EIRELI」に育てると同時に、生長の家の「栄える会」(企業家対象)でブラジル全土の会長にまでなった。また13年前からコレジオ(私立小中学校)「Colegio Mundo Atual Ltda.」の経営も始めた。
2002年に青年会全国大会のブラジル代表として初訪日。「日本ではあらゆる出来事が感動の嵐だった。谷口雅春先生に抱擁されるような喜びを感じた。あの感動を言葉にするのが難しいぐらい」。
2度目は、日本の本部が2013年に山梨県北杜市に国際本部を移転した際。日本初のゼロ・エネルギー・ビルディングである「森の中のオフィス」竣工式に出席し、国際講師研修会にも参加した。「日本は感動的なぐらい全てがオルガニザード(組織的)な社会。ブラジルが学ぶべきことは山ほどある」。
3度目は「栄える会」ブラジル会長として48人の企業家使節団を引き連れて訪日。「京都や宇治に感銘を受けた。金色に輝く金閣寺、どこまでも続く赤い鳥居のトンネルがある伏見稲荷大社など、感動の渦に巻き込まれた」と振り返る。
今後の方針としては「不景気が続くブラジルでは失業して絶望、失望した日々と送る人がたくさんいる。テレビ、ラジオ、ネットを総動員してそんな人たちの関心を呼び起こし、練成道場での体験イベントにもっと参加してもらう」と意気込んだ。
一方で「グローバル化した現在、ブラジルは世界への重要な布教拠点だと考える。英語も強化して世界に広げることに貢献できる」と広い視野も持つ。
「東洋では当たり前の先祖崇拝が、西洋社会では一般的に薄い。先祖崇拝はルーツ意識の強化でもあり、日本との繋がりを強化する必要性を感じる」。新理事長は日本語をまったくしゃべらないが、職員の日本語翻訳部門の強化を考え、日本との絆を強めることを方針としていると語った。