17日夜、ボルソナロ大統領が議会に非常事態である事を認めるよう要請したとの報道が流れ、「おや? 大統領の態度が変わった」と思った。
というのは、同日昼過ぎは、無用の外出や人ごみを避ける事を勧め、映画館やショッピングセンターの閉鎖やスポーツの試合中止などを命じた知事達の行為を批判していたからだ。大統領は知事達を批判した際、法定アマゾンの開発を擁護した際も使った「経済活動を止める事は出来ない」との論を展開した。
だが、コロナウイルス禍は人命に関わり、今止めなければ、経済も止まる。国際社会では、フランスのマクロン大統領が「戦争」と表現し、公的な会合などを制限。米国のトランプ大統領も「何カ月もかかる非常事態で、景気後退も招く」との認識を表明したし、欧州連合は国境封鎖も決めた。
だが、ボルソナロ氏は「ヒステリックに騒ぎ過ぎ」「経済活動に影響する」と評価。自分が隔離対象なのに大衆と直接接触した日曜日のデモの時同様、認識の甘さや焦点のずれを露呈した。
だが、知事達を批判した日は、サンパウロ市で最初の死者が出たと報じられた日で、大統領府では新型コロナ対策委員会を設置、毎日、ビデオカンファレンスを行う事を決めた日でもある。
それを反映してか、18日付のブラジル国内紙には、議会や最高裁と対決する姿勢を見せ、隔離措置は立法府などが目論んだクーデター(ゴウピ)と言っていた態度を一変し、「新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために一致団結する必要がある」と発言したともある。
遅ればせながら目覚めたのなら、正しい方向に船が進む可能性はある。真の覚醒と現状認識である事を願いたい。(み)