早稲田大学OBによるブラジル稲門会(天野一郎会長)の定期総会が今月6日に、サンパウロ市リベルダーデ区の宮城県人会会館で開催された。平日開催で新型コロナウイルスの影響が当地でも出始めた時期でもあり、例年よりも少ない28人が出席して交流を深めた。
開会後の挨拶で天野会長(72、東京都)は、「新型コロナウイルスのために『総会は自粛するように』と日本の総長が言っていたが、ブラジルは影響が少なかったので開催させてもらうことにした」と説明。「せっかく同窓の人がたくさんいる。会社の付き合いだけではなく色々な人と交流を持ってもらいたい」と会場に呼びかけた。
相田祐弘名誉会長(87、東京都)の「ビバ! サウーデ! 乾杯!」と乾杯の音頭を取り、会場が一体となってグラスを持つ手を掲げた。
会計幹事の秋吉功さんが2019年度会計報告をし、続いて各部の担当幹事から昨年の早慶戦の結果が発表された。昨年は野球1勝、ゴルフ1敗、テニス1勝と2対1で早大が勝利した。
新会員の細谷幹雄さんの挨拶後、帰国や転勤となった退会会員の羽畑孝司さんと片山恵さんから挨拶が行われた。羽畑さんは2度目のブラジル赴任で、稲門会の幹事及びゴルフの担当幹事を務めた。「でも一番印象に残っているのは、野球の早慶戦で打席に立った時。一番緊張した」と笑った。
片山さんはブラジル日本語センターでJICAボランティアとして活動しており、「着任当初に日本人移民110周年事業として早稲田大学野球部が来伯した際に観戦した試合がとても楽しかった」と思い出を語った。
余興では、観客が見つめる中で足立弘子さんが吉田エリザベッチさんのピアノ演奏に合わせて独唱。「さくらさくら」「夏の思い出」等の童謡やイタリア語の歌曲を朗々と歌い上げた。
続いて鳥取県米子市出身の村信政幸さん(67、鳥取県)が、隣町の島根県安来市の民謡「安来節(やすぎぶし)」の演奏に合わせて民俗芸能「どじょうすくい」を披露し、キレのある踊りと滑稽な表情が会場の笑いを誘った。村信さんから指導を受け、前に出た天野会長、北原健二さん、羽畑さん、西風新吾さん、細谷さんもどじょうすくいを体験し会場を大いに沸かせた。
最後は出席者で輪になって肩を組み、石岡紳一郎さんのリードによって早大恒例の応援歌「紺碧の空」を笑顔で合唱。最後は石岡さんの「フレッフレッ早稲田!」の掛け声に合わせて拳を振った。
サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼス市在住の秋吉さんは、「昨年は参加できなかったので、今年は来れて良かった」と笑顔で同窓の集いを楽しんだ様子。司会を務めた高野愛美さんは「若い人は短期滞在が多く、どんどん入れ替わるのが寂しいけど、こうして皆さんと集まれるのは嬉しい」と微笑んだ。
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早稲田大学OBによるブラジル稲門会が開催された6日(金)は、まだ新型肺炎の影響が少なかった。トップ記事のぶらじる丸同船者会は13日(金)で、今思えば、平和に和やかに総会ができる最後のチャンスだ。その週からサンパウロ市株式市場の連続大暴落が始まり、混乱した中、世界パンデミック宣言が出され、ブラジルは13日晩から今のコロナ・ショック状態になった。つい最近だが「コロナ以前の、あの平和な頃が懐かしい」との感慨が湧く?