基礎疾患がなく健康で、26歳になったばかりだった前途有望な弁護士、マウリシオ・カズヒロ・スズキさんが28日(土)、コロナウイルス感染症が悪化してサンパウロ市のサンタクルス病院で亡くなった。フォーリャ紙29日電子版は「この病気には、高齢者隔離などの社会的距離政策は通じない」などの親類の痛切な声を報じ、健康な若者も気をつけるべきだと継承を鳴らした。
スズキさんのマッキンゼ大学法学部時代からの友人、ジエゴ・メイレレスさんは「ひどいショックを受けた」とフォーリャ紙に語った。「ウイルスがこんなことを起こす可能性があるなんて、まったく想定していなかった」。
サンパウロ市東部イタケイラ区に両親と住んでいたスズキさんは13日に26歳になったばかり。16日から熱が出始め、市販薬を飲んだが熱が収まらず、18日に母に付き添われてクルス・アズル病院に行った。なんの検査もせずに医者は風邪だと診断し、症状を和らげる薬を処方した。
コロナが心配になったスズキさんは高齢な両親がいる家に戻らず、ジアデマ市に住む女兄弟の家に行った。翌19日、今度は女兄弟に付き添われてサンタクルス病院に行き、その時は症状がひどくなかったので「悪化したら病院に戻るように」と言われて一旦返された。23日にそれが起き、今度は入院した。
同病院の広報によれば、次の経緯だった。《23日、高尿酸血症(血液中に高濃度の尿酸が存在する)の患者様は、重度の急性呼吸器症候群となり救急搬送され、サンタクルス病院に入院いたしました。
胸部CT検査でウイルス性肺炎のパターンが認められ、新型コロナウイルス感染症が疑われたため隔離され、24時間後に新型コロナウイルスPCR検査で陽性が確認されました。
当院は、患者様を速やかに集中治療室のサポートケアに移行しましたが、初期治療にもかかわらず、呼吸機能障害が進行し病状が悪化し、難治性低酸素血症を管理するための人工呼吸器による治療が続けられました。
その後も当院のあらゆる手段とリソースを駆使し、状態を好転させようと試みましたが、誠に遺憾ではありますが、28日の深夜にお亡くなりになりました》
フォーリャ紙記事によれば、スズキさんは基礎疾患がなく、スポーツジムに通うことが習慣で、ハーフマラソンに参加するほどのスポーツマンだった。将来の夢は裁判官になることだった。29日(日)朝、同区ジャルジン・ド・ペッセゴ墓地に埋葬された。
長谷川レナト医局長は、《サンタクルス病院を代表し、ここに謹んでお悔やみ申しあげ、ご遺族様ご友人様のお悲しみいかばかりかとお察しするとともに、患者様のご冥福を心よりお祈りいたします》とのコメントを公表した。
女兄弟のシモネさんがフォーリャ紙記者に語ったところによれば、「両親はコロナ感染症に似た症状でプレベント・セニョールのグルーブ病院に入院しており、コロナ検査をしている。両親は疾患を持ち、高齢者だ」と語った。