「WILLフォンのチャンネルがまた映らなくなった。会社名と携帯電話が記載されているので信頼できる会社か取材してほしい」。3月17日、編集部に1本の電話が入った。
WILLフォンは日本のテレビ番組が46チャンネルも見られる海外向けのサービスだ。サンパウロ市ガルボン・ブエノ街412番にあったJ―Vision社が元々は代理店をしていた。
だが、本社であるWILL株式会社(東京所在)が、日本の消費者庁から「持続可能性がないビジネス」として18年12月、19年7月と2度の営業停止命令等の行政処分を受けたこともあり、J―Vision社は昨年、説明する人員や連絡先は置かれないまま、突然に事務所を閉鎖。料金を払わずに日本のテレビが見られる状態が続いていた。
今回、新たに取次を行うと名乗り出ている会社は「Ippon Tec Soluções informática Ltda」(イバラキ・カズオ代表)。連絡先にはメールアドレスと固定電話がなく、携帯電話(日本語とポルトガル語)のみが画面に表示された。
3月19日、その携帯電話に電話取材を行ったところ、電話口の担当者は「我々は以前サービス提供していたJ-Visionとは無関係の別会社。だから、視聴を継続したい場合は新たに我々と契約しなければならない」という。
会社の所在地を質問すると「代理店と交渉しているため、まだ会社住所はない」との返答だった。「代表者イバラキ・カズオの漢字を教えてくれ」と尋ねても、電話の担当者は「分からない」とのこと。
念のためインターネットで社名「Ippon Tec Soluções informática Ltda」を検索してみると、公式サイトはなかった。
ただし、ブラジル国内の企業情報が観覧できるサイト(https://www.consultasocio.com/q/sa/eduardo-kazuo-ibaraki)によれば、代表者は「Eduardo Kazuo Ibaraki」。共同経営者はサンパウロ新聞営業部長だった古城伸子さん。資本金は4万レアルで19年9月11日設立。住所はメトロのコンソラソン駅そばの《Av. Paulista, 2198, 16º andar, sala 161, Bela Vista, Sao Paulo, SP, CEP 01310-300》、電話 (11) 2626-7362、Eメール(IBARAKI@WILL-G.CO.JP)で登録されている。
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「信頼できる会社かどうか教えてほしい」というWILLフォンに関する読者の質問に答えるのは、正直言って難しい。相手は携帯電話でしか連絡先を出していない。何かあっても、携帯電話を変えられたらおしまいだ。だから、記事中に会社が登記されている住所と電話、メールを出した。メ―ルアドレスからはまちがいなくWILL関係者であることが伺われる。あとは、自己責任で判断するしかなさそうだ。