サンパウロ日伯援護協会及び日伯福祉援護協会は、医療分野、福祉分野において活動しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響を多大に受けています。
日伯友好病院ではコロナウイルスに感染している患者の対応のために医療チーム、医療機器・設備、専用スペースを設けています。退院された患者の快適さと安全のため、ボランティア医師たちによる電話相談サービスを行っています。
本年2月より各種分野のメンバーによるCOVID-19対応委員会を設置し、連日対応策や活動についての報告・相談のための会合を開いています。
今一番の難題は、
①個人用医療保護具の入手(品薄に加え、高額になっている)。
②コロナウイルスに感染した、或いは感染の疑いがあるために現場を離れている医療従事者の代わりの人材確保。
③感染拡大による病床、医療機器不足の可能性です。
また、福祉部門では行政の指示に従い、リベルダーデの援協社会福祉センター(神内ビル)で行っているディサービスの活動を停止しました。援協傘下の養護老人ホームのサントス厚生ホーム、あけぼのホーム(グァルーリョス市)、さくらホーム(カンポス・ド・ジョルドン市)、イペランジアホーム(スザノ市)の入居者の平均年齢は85歳以上であり、100歳以上の入居者も数人いらっしゃり、懸念しているところです。
入居者や職員の感染リスク減少のために、次の対策を行いました。
①日伯友好病院の医療メンバーにより全職員へのCOVID-19対応指導。
②入居者の健康状態を毎日チェックし、症状有り・なしの感染の可能性のある入居者の隔離。
③症状有り・なしの感染の可能性のある職員の休職。
④入居者への面会禁止、新入所者の受け入れの一時停止、ボランティアによる活動や会議を禁止。
⑤食料品、制服、履物、施設内の殺菌を徹底する。
⑥職員のマスク、手袋使用を徹底する。
⑦入居者のご家族宅引き取りの可能性をご親族へ伝える。
⑧事務員、調理・清掃・メンテナンススタッフ用のマスクの製造(手作り)。
難題は①コロナ感染のために休職中の代わりの人材の確保(パンデミックのために困難)、②個人用医療保護具の入手(品薄・高額)です。
残念ながら、現時点ではCOVID-19への治療薬はありません。私個人の意見としては、指示されているように他者との接触を控え、集団感染を防ぎ、限りある医療施設への負担を避ける必要があります。
確かに、産業・商業・サービス業界の休業は各種業界の経済や行政の財政に大きな打撃を与えることになります。これまで救急経済対策や社会的弱者への現金給付が発表されています。
市民・企業の多くがパンデミックの影響で苦しみ、財政収入が減る一方で、行政による高級公務員、政治家の減給についての動きは何も見られません。政界の頂点に立つ者たちが見本を示してこそ、皆が団結してこの困難な状況を乗り越えることができるでしょう。
日本で行われている感染対策に関する報道を細かくチェックしていますが、厳しく対策していないに関わらず、COVID-19感染の広がりを抑えられているように見られますが、これも日本人の教養の高さによるものでしょう。
咳などの症状が出ているときに感染を防ぐためのエチケットとしてのマスク着用を徹底するなど、この他者を尊重する日本の文化の賜物とも言えます。
但し、最近では、感染者が増えてきているため、地域によっては行政よりさらに厳しい対策が打たれている地域もあります。
ほとんどの市民が外出を控え、自宅からニュースなどで状況を把握する中、多くの医療・福祉の両分野に関わっている医者、看護師、看護助手、福祉士が、最前線で日々新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し、勇気と責任感を持って立ち向かっています。この方々に心から尊敬と敬意を表したいと思います。