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《ブラジル》エタノール生産大幅増、消毒液の原料に=燃料価格下落で農家には打撃

消毒液需要の高まりをエタノール(さとうきび)生産が支えている(参考画像・MaykeToscano/Gcom-MT)

 ブラジル国家配給公社(CONAB)は23日、2019/20農年のエタノール生産量は、18/19農年より7・5%増の356億リットルに達したと発表した。同日付ニュースサイトが報じた。
 サトウキビとトウモロコシから作られるエタノールは、新型コロナウイルス災禍で需要が増えた、消毒作用を持つゲル状アルコールや消毒液の原料としても使われる。
 サトウキビから作られる砂糖の生産量は2980万トンで、前農年より2・6%増えた。ガソリンと混合して使われるサトウキビの無水エタノールは8・5%増の101億リットル。トウモロコシから抽出する無水エタノールも3億9070万リットルで、前農年比で66・8%増だった。エタノールにはガソリンの代替燃料としての役割もある。

 エタノールの増産は気候に恵まれた結果だが、コロナショックにより、世界中で社会隔離政策がとられ、燃料の消費量が減ったこと、国際市場で原油価格が下落したことは、ブラジル農業界にとって財政的に不利に働いた。
 テレザ・クリスチーナ農相は、「現状は農家にとってまさに大嵐」と評し、連邦政府に農家への援助を求めている。
 同農相の提案の中には、農家に対する社会統合基金(PIS)と社会保険融資負担金(Cofins)の支払いの3カ月間免除や、エタノール燃料の価格競争力を相対的に高める意味の、ガソリンにかかる経済支配介入納付金(Cide)増額が含まれている。同農相は、これらの措置は近いうちに政府から発表されるはずとしている。