5日、セルジオ・モロ前法相がパラマ州連邦警察で行った、ボルソナロ大統領の連邦警察干渉疑惑に関する供述内容が公開された。供述では、大統領の「自分はリオを管轄したい」との発言が注目され、最高裁が連邦政府に、モロ氏の辞任2日前の会議の録画を72時間以内に送るよう命ずるなどの動きも起きたが、証拠不十分の印象を残した。6日付現地紙が報じている。
モロ氏の供述内容は、CNNブラジルが5日午後4時頃に公表した。2日の供述は8時間にも及ぶものだったが、供述内容は10ページ程度の短いもの。また、モロ氏が提出した携帯電話の通信・通話記録は辞任前15日分だけで、通話の相手も、ボルソナロ大統領とカルラ・ザンベッリ下議のみだった。
モロ氏は事前に「これはボルソナロ氏の罪を証明するためのものではない」とし、「罪かどうかは専門家が判断して欲しい」と前置きしていたという。
2日の証言で明らかにされたことの一つは、ボルソナロ氏が3月初旬にモロ氏の携帯電話に、「モロ、君は27州の連警トップを掌握しているが、私がほしいのはたった一つ、リオだけだ」というメッセージを送ったこと。このメッセージは、ボルソナロ氏が連警長官交代にこだわった理由が、リオへの執着であることをうかがわせた。
だが、大統領の息子たちの容疑に関してや、マリエレ・フランコ氏殺害事件での捜査のことなど、世間が最も注目していた内容には言及がなかった。
4日に連警長官に就任したローランド・デ・ソウザ氏は、たしかに就任直後にリオ州の連警トップの人事異動を行った。だが、新たにリオ州トップに指名されたのは、ボルソナロ氏が望んだリスト以外の人物だった。しかもソウザ氏は5日までに、5州の連警トップの異動を行っている。
連警長官人事に関しては、大統領が今年1月から、アレッシャンドレ・ラマジェム氏を据えようとしていたことも明らかにされた他、大統領が捜査内容の報告書などを求めていたことも語られている。
モロ氏の供述後、連邦検察庁は、ボルソナロ氏による連警介入の有無を確認するため、連警長官交代を決めた理由などを捜査する許可を最高裁に要請した。
最高裁のセウソ・デ・メロ判事はこれを受け、5日夜、モロ氏辞任の契機ともなった4月22日のボルソナロ大統領らとの会談の録画を72時間以内に提出するよう命じた。また、23日に行われた別の会議にも参加した、大統領の相談役的存在の軍人官僚3人、ヴァルテル・ブラガ・ネット官房長官、ルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官、アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官を含む、10人からの事情聴取を認めた。
だが、録画を持っているのが大統領側であるのに加え、軍人官僚に証言を求めたことに軍部が強い反発を示している。
連邦政府は供述内容が公開された後、「これでモロ氏を論破するのは楽になった」との見解を示しているという。