新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、医療崩壊が起きている自治体もあるが、医療現場その他の必要に応えようと、資金や資材などを寄付する企業や企業家、個人が後を絶たない。
最新の例は、アラブ諸国とブラジルとの間の交易などに関わる商工会議所が、サンパウロ市東部のサンタマルセリーナ病院に行った寄付だ。同病院は、同地区で統一医療保健システム(SUS)に対応している病院の中でも最大規模の病院だ。
同商工会議所は必要を覚えている病院の名前を挙げ、物資が整う都度、今回はここ、次回はあそこといった具合に寄付を行っている。サンタマルセリーナ病院へは、枕カバー5700枚、マスク3万枚、ゲル状アルコール1250リットルが寄付された。
テクノロジー部門のコンサルタント会社Accentureは、デジタル部門のプロジェクト六つ(計1370万レアル相当)を無料で提供。一例はサンパウロ州政府に提供した感染者の予備診断システムで、どこの病院に患者を振り分ければよいかを判断するのに役立つ。
同社は、零細・小企業支援サービス機関(Sebrae)のためのプロジェクトも開発。難民や零細企業家、青少年の教育プログラムを担当する非政府団体(NGO)にも、100万レアルを寄付している。
企業や企業家による援助は、4月半ばにアナウンスされた10億レアルの大口寄付など、銀行、鉄鋼会社、飲料会社、ペトロブラス、出版会社その他、多岐にわたる業種の企業が協力、寄付を申し出ている。
また、寄付される資材も、医療現場が必要とする、マスク、ゴーグルなどの安全用具、感染検査のキットや体温計、人工呼吸器やモニター類にトモグラフィーその他の機材、清掃・衛生用品など様々だ。既存のネットワークを持つ病院と提携し、新しい病院の建設や新たな病床の増設、改修を手がけたり、そのための資金を提供したりするケースもある。
また、様々な資材の搬送、搬入を助ける形の協力や、基礎食料品セットの配布、貸し店舗の家賃割引や免除などの形の協力もある。
アルコール飲料や化粧品の製造会社が、手持ちの原材料や技術を活かしてゲル状のアルコールを製造したり、自動車工場の技師達が人工呼吸器の修理を行ったりする例もあるし、各地の外食産業関係者らが病院関係者にお弁当を届けたり、基幹サービスの従事者には無料で食事を提供する例、地域の人々がマスクを作り、病院などに届ける、貧しい人達のために炊き出しを行うなど、隠れたところでの協力や寄付もある。
コロナに感染した人や前線で戦う医療関係者、感染の危険に怯えながら働く基幹サービスの従事者の中には、孤独感を感じている人もいるが、多くの人の支援や協力、祈りがある事を知り、新しい力と勇気を受け取って欲しいと願っている人も数多い。(4月13日付G1サイト、同アジェンシア・ブラジル、5月6日付G1サイトなど)