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《ブラジル》コロナ死者1万人超える中、大統領はジェットスキー=「BBQ発言はマスコミの嘘」とも

コロナの死者が1万人に達した9日、護衛を後部座席に乗せジェットスキーに興じる大統領(コレイオ・ブラジリエンセ電子版より)

 【既報関連】ブラジル国内の新型コロナウイルスによる死者は、9日の保健省の公式発表で1万人を超え、10日には1万1123人に達した。また、11日夕方までの各州保健局の集計での感染者数は16万5475人、死者1万1309人と出た。10、11日付現地サイトが報じている。
 10日夜の保健省の公式データによると、感染者は累計16万2699人で、1万1123人が死亡。回復者は6万4957人で、8万6619人が療養中だ。
 保健省は、「死因がコロナだったかを調査中」の件数も発表している。「検査も治療も受けられないまま亡くなり、後でコロナ感染が判明」という事態が起きているためだ。10日の保健省発表では、「死因調査中」は1892人に上る。
 コロナ災禍が続く中、ボルソナロ大統領(所属政党なし)は7日、「9日に人を集めて、バーベキューを行う」と公言したが、9日当日には「“バーベキュー発言” はバカなマスコミ共のでっちあげ」と発言した。
 バーベキューを公言したことで、「コロナの死者が1万に届こうとしている中、極めて不謹慎」「保健省が国民に呼びかけている、人ごみを避けるようにとの指導を、またしても大統領が破るのか」などの批判が巻き起こったためだ。
 大統領は8日朝、大統領官邸前で、「何百人呼ぼうか、記者も呼んでやろうか」「総勢3千人位かな」などと大言壮語していたが、批判の高まりに開催を断念。「そんなことは言っていない」としらを切った。
 9日、バーベキューの代わりに、大統領官邸に面する人工湖パラノア湖でジェットスキーに興じた大統領は、桟橋に停泊する際に、支持者とセルフィーを撮った。大統領も支持者の多くもマスクは着けていなかった。
 ブラジルでは多くの州が独自に隔離政策や公道などでのマスク使用義務化策をとっているが、大統領がそれと真逆な姿勢を態度で示している。


 11日午前10時現在の米国ジョンズ・ホプキンズ大学の発表によれば、ブラジルの感染者数は16万人で世界第8位だ。そんなブラジルと国境を接するアルゼンチン(感染者6034人、世界53位)とパラグアイ(713人、108位)は、ブラジルからコロナウイルスが持ち込まれないように、ブラジルからの車両への通行制限を厳格化。ブラジルから戻ってきた自国民には、2週間の隔離後の帰宅を義務付けている。
 両国とも、ブラジルからの入国は貨物車両しか認めていない。アルゼンチンの場合、ブラジルからのトラックは、積荷を降ろした後、自由に動き回ることも停車することも出来ない。積荷の受け取りを拒否する企業さえ出ている。
 ブラジル国際運送業者協会(ABTI)のグラジーズ・ダ・ヴィンチ理事は、「アルゼンチンやパラグアイでは、ブラジル人ドライバーが給油や食事をするための場所が別に設けられている。ブラジル人ドライバーは荷物を降ろして、さっさと出て行くようにと指示される」と語った。