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《ブラジル》注目ビデオで大統領「家族と友人を守りたい」発言=連警捜査から、それとも?

12日のボルソナロ大統領(Marcelo Casal/Agencia Brasil)

 12日、ブラジリアの連邦警察で、セルジオ・モロ前法相の辞任の原因ともなった4月22日の閣議の録画閲覧が行われ、「大統領が『家族や友人を守るために連警トップを替えようとした』と語った」などの大統領にかなり不利な証言が報じられた。最高裁ではビデオ公開への準備も進めている。さらに、閣議に参加した3人の軍人閣僚の証言が微妙に食い違い、大統領の連警干渉を匂わせる証言も飛び出している。12、13日付現地紙、サイトが報じている。
 モロ氏が「大統領が連警察長官の交代にこだわり、受け入れない場合の解任も示唆した」と供述していた閣議の録画は、約2時間に及ぶものだ。会議の模様を収めたビデオは12日朝、モロ氏や連警、連邦検察庁、連邦総弁護庁(AGU)など一部関係者限定で公開された。
 閲覧者は携帯電話などの持込みを禁じられていたが、15時50分、G1サイトにその様子を伝える最初の報道が流れた。それによると、ビデオを閲覧した人が、大統領が「自分の家族を守るためにリオ州の治安部門の長を替える」という趣旨の発言をしたとジャーナリストに伝えたという。
 その後も、同様の報道が詳細と共に流れはじめた。それらでは、大統領が「連警が自分の家族を迫害している」「家族と友人を守る必要がある」などと発言したと報じられた。リオ州連警は大統領の長男フラヴィオ氏、次男カルロス氏を捜査中で、ボルソナロ一家との関係が囁かれているミリシアにも捜査対象になっている人物がいる。
 ボルソナロ氏は報道陣からの質問に、「あのビデオは社会通信局が映像を利用した後、破棄されるはずだった。なぜ残っていたのか」とし、ビデオを残しておいたことを悔やんだ。
 12日夕方、ブラジルはこれらの報道で騒然となった。また、同日夜には、この閣議に参加し、12日に事情聴取を受けた3人の軍人閣僚、ヴァルテル・ブラガ・ネット官房長官、ルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官、アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官の供述も公表されたが、食い違いが見られた。
 それによると、ブラガ・ネット氏は「大統領は家族の安全を求めたのであり、連警トップを替える話はしていない」と発言した。
 だが、大統領や家族の警備の管轄はGSIで、法務省や連警ではない。


 エレーノ氏は「大統領が自分に近い人物を連警に置きたがるのは自然だ」とし、「連警には言及していない」としたブラガ・ネット氏の証言と矛盾が生じた。さらに、ラモス氏は「大統領は、『状況を良くするためならどの省庁にも口を出す』と発言した」と語っている。
 一連の報道後、政界や世論でビデオ公開を求める声が強まっているが、最高裁のセウソ・デ・メロ判事は12日夜、検察庁、AGU、モロ氏の弁護士に48時間以内に同ビデオの公開についての意見書を提出するよう求めた。全面公開か、部分的公開かは意見書を受け取った後に決められる。