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人数が減って、過激化するボルソナロ支持者

マシンガンを抱えたジェフェルソン氏(自身のツイッターより)

マシンガンを抱えたジェフェルソン氏(自身のツイッターより)

 反隔離を叫べど、加速化して増えるコロナウイルスの死者の前に支持が増えず、かつ、セルジオ・モロ前法相辞任の発端となった閣議ビデオ中の大統領発言が問題視されたことで、ボルソナロ大統領の立場はますます危うくなっている。
 とりわけモロ氏の政権離脱はボルソナロ氏にとっては痛かった。モロ氏が持っていた「汚職撲滅」のクリーンなイメージがあったおかげで、ボルソナロ氏自身の破天荒な言動も「善意でやっているもの」と解釈する人が少なくなかった。汚職撲滅政権というよって立つ根拠、イメージを失ってしまったからだ。
 コラム子の見たところだと、現在の支持率はせいぜい20%台後半と言ったところか。これもボルソナロ氏が当初攻撃していたはずの、汚職イメージの非常に強いセントロンとの結託イメージが強まればさらに減るだろう。
 そこに、もう一人の人気大臣、パウロ・ゲデス経済相を失うようなことがあれば、20%を割り込む可能性もあるだろう。それ以前に、モロ氏との会議ビデオが一般公開でもされれば、その時点でかなりのダメージになるはずだ。
 ただ、仮にそうなったとしても、コラム子の予想では、ジウマ氏やテメル氏の最悪の時のような数字にはならない気がしている。なぜか。それはもう既に、何の理屈もなく「ボルソナロでありさえすれば何でもいいと盲信する人たち」というコア層がそれなりに存在するから。
 だが、それは同時に非常に恐ろしいことでもある。そして、その兆候はもう早速始まっている。
 たとえば、モロ氏の政権離脱後、ボルソナロ支持派の「カルト化」が急速に進んでいることだ。それはモロ氏を熱烈支援していた政治団体「ブラジル自由運動(MBL)」がボルソナロ氏の罷免に動いてから顕著になった。
 支持者たちは、この頃から「ライズ(根っこ)」という言葉を使い始め「本当の右翼ならボルソナロを推す」という英雄礼賛的な行為が目立ち始めている。
 事実、これ以降、支持者によるデモなどでは、過去には聞かなかったような恐ろしいことも続いている。暴力事件を起こしたり、コロナの犠牲者をからかう非人道的な悪ふざけをやったり。そして、その最たるものは、ネオナチ集団「300・ド・ブラジル」の存在だ。
 そのリーダーは、ナチス協力者として知られた実在の女性「サラ・ウインター」の名を借りたウクライナの極右集団で訓練を受けたとも言われる。彼らは、先週から大統領府前にテントを張り、そこに武器を持って立てこもっている。人数そのものは少なく、検察も動いているので限界はありそうだが、不気味な存在あることは間違いない。
 そして、セントロンの一つ、ブラジル労働党(PTB)の親玉ロベルト・ジェフェルソン氏のネット上での奇行も最近問題になりはじめている。同氏といえば、2005年にメンサロン事件に発展した、ルーラ政権の下院での賄賂を暴露し、自身も収賄罪で実刑を受けたことで知られている。
 普段から毒舌で言いたい放題のところがあった同氏だが、最近、ボルソナロ氏を意識してか、マシンガンを持って「最高裁判事をクビにしろ」「銃の力は法衣より強い」など、およそ政治家とは思えないテロリスト的言動を展開している。
 「300・ド・ブラジル」にせよ、ジェフェルソン氏にせよ、こういう人たちに支持されること自体が、ボルソナロ氏にとってマイナスにしかならないと、まともな感覚を持っている人なら思うだろう。だが仮に、これが大統領支持者の言動を象徴するものだとしたら…。(陽)