セルジオ・モロ前法相が辞任会見で訴えた、ボルソナロ大統領の連邦警察介入疑惑に関し、連邦総弁護庁(AGU)は14日、4月22日の閣議でボルソナロ大統領が連邦警察の名を出して「家族を守りたい」と語ったとの報告書を最高裁に提出し、「連警のことも家族のことも口にしていない」という大統領発言を覆した。また、この他にも大統領に不利な証拠が浮上している。14、15日付現地紙、サイトが報じている。
AGUは、最高裁のセウソ・デ・メロ判事から「4月22日の閣議のビデオの公開を一部にするか全体にするか」についての意見書の提出を求められた返答として、「一部」とした上で、該当すると思われる大統領の発言を事前に抜き出して提出した。
それによると、大統領は「リオ州の治安担当者のトップを替えようとしたができなかった」「家族や友人たちがひどい目にあうのは見過ごせない」「リオ州のトップがだめならその上、それがだめなら大臣を替える」と語ったという。
さらに大統領は「連邦警察は捜査に関する情報をくれない。ブラジル情報庁(ABIN)はいくつか持っているが、あそこも問題はある」と連警への不安を語り、さらに大統領が連警長官の後任に据えようとしたアレシャンドレ・ラマジェム氏が所属するABINの名前まで出していたことも判明した。
大統領はこれまで「連邦警察という言葉も使ってないし、家族のことも話していない」としていたが、15日午前、前言を撤回して、それらの言葉を使っていたことを認めた。大統領は「だが、あくまで家族の安全面での話だ」としたが、その件は既に、ヴァルテル・ブラガ・ネット官房長官が12日に同様の供述をした際、「大統領の安全面の管轄は大統領府安全保障室(GSI)のはず」とマスコミに論破されている。
同じく14日、モロ氏に対し、最高裁判事の座の約束と引き換えにモロ氏に法相残留を求めたとされるカルラ・ザンべッリ下議が、4月上旬頃からモロ氏に携帯電話で残留を迫っていたことが、通話内容の公開と共に明らかとなった。それによると、同下議は「あなたが辞めるとボルソナロ政権が倒れる」などとして説得を行っていた。
閣議ビデオの公開に関しては、アウグスト・エレーノGSI長官とアウグスト・アラス検察庁長官も「一部のみの公開」を求めている。前者は、全体を見せるのは「非国民的」、後者は「政治的」との判断を下している。
一方、モロ氏の弁護側は全編の一般公開を強く望み、AGUが14日に提出した大統領発言の抜き出しも、「かなり省略したものだ」と不満を示している。
ビデオ公開に関するセウソ判事の判断は15日にも行われる。