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サンパウロ州=コロナICU患者の致死率20%=神経系や諸器官で合併症も

サンベルナルド・ド・カンポ市での救急病院開設に立ち会うドリア知事(右端、Governo do Estado de São Paulo)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染者と死者が全国最多のサンパウロ州で、集中治療室(ICU、ポ語ではUTI)に入院した患者の致死率が20%に上っている事が明らかにされたと14日付ニュースサイトが報じた。
 14日現在のサンパウロ州の感染者は5万4286人、死者は4315人で、致死率は7・9%だが、ICUの患者の致死率は20%との数字は、エミリオ・リバス病院感染症研究所のルイス・カルロス・ペレイラ・ジュニオル氏が明らかにした。
 同氏によると、コロナ感染症の患者を収容しているICUでは重度の肺炎などで死亡する人が5人に1人いる。また、腎機能障害を起こす人も30%以上おり、人工透析が必要となる人が15%程度いるという。また、同氏は「10人に4人が腎臓が腎機能障害を起こしている。退院後も透析を必要とする人や肺の後遺症に苦しむ人も出る」と語った。
 さらに、「現在の問題は病床数が足りているか、何人の患者が入院できるかという事だけではない。コロナ感染症が毎日、新たな臨床的、神経学的な症状を呈し、皮膚疾患、血管障害なども引き起こしている」と続けた。同氏によると、サンパウロ州のコロナ対策班の願いは、「1人でも多くの患者の命を救う事だけではなく、重度の患者が出たり、後遺症に苦しむ人が出ないよう、協力する事」だという。
 同氏は、コロナウイルスは神経系も含む諸器官を攻撃するため、肺炎以外の合併症を引き起こす事や、命を奪い、生涯にわたる後遺症を残す可能性もあると語った後、改めて、感染拡大を避けるための社会的隔離の必要性を説いた。


 サンパウロ州はコロナ感染症患者を収容するための臨時病院を建設するなどしており、13日現在の同州のICU占有率は68%だ。だが、14日の報道によれば、サンパウロ市立の病院のICU占有率は89%に達しており、入院出来ない患者も出ている。
 また、サンパウロ州保健局によれば、同州ではこのところ、海岸部も含む内陸部での感染者や死者の増加が目立っている。内陸部の感染者の増加率はサンパウロ大都市圏より高く、2週間で倍以上に増えている。最近の内陸部の隔離率は40%台で、感染拡大は時間の問題とされていた。
 ジョアン・ドリア知事は隔離率が改善しなければ都市封鎖(ロックダウン)採用も辞さない姿勢だ。ボルソナロ大統領は14日の企業家との会議で「(都市封鎖回避のために)ドリアと戦え」とけしかけたが、同知事は「大統領は再び、国民の健康と命を守るチャンスを失った」と反論した。