ボルソナロ大統領一家との親密な関係で知られていた企業家のパウロ・マリーニョ氏が、「2018年の大統領選の際、長男フラヴィオ上議(当時はリオ州議)の捜査が連警ではじまろうとしていたが、フラヴィオ氏に事前に知らされ、捜査が延期されていた」との暴露を行った。セルジオ・モロ前法相の訴えた、大統領による連邦警察の捜査干渉や人事介入疑惑に、新たな疑惑が加わることになった。17日付現地紙が報じている。
今回の件は16日夜、フォーリャ紙サイトに掲載された、マリーニョ氏へのインタビューで明らかになった。
同記事によると、フラヴィオ氏は18年12月12日、同年10月の大統領選の一次投票から決戦投票の間に起こったことを、マリーニョ氏に打ち明けたという。マリーニョ氏は社会自由党(PSL)から上議選に出馬し、同選で当選したフラヴィオ氏の補欠となっていた。
フラヴィオ氏はそこで、リオ州議付職員として長年勤めてきたファブリシオ・ケイロス氏の口座に、多数の幽霊職員たちに給与の一部をキックバックさせていた容疑で捜査対象になりはじめているとの機密を、ボルソナロ氏を支持している連警から事前に教えられたと明かしたという。
マリーニョ氏によると、フラヴィオ氏はこのとき、かなり悩んでいるように見えたという。フラヴィオ氏がマリーニョ氏に「刑事事件に強い弁護士を紹介してくれないか」と依頼したため、マリーニョ氏は翌12月13日にフラヴィオ氏と弁護士たちを引き合わせ、会合を行ったという。
その会合の席でマリーニョ氏は、フラヴィオ氏から、大統領選一次投票の一週間後、フラヴィオ氏の側近のミゲル・ブラガ氏が連警からケイロス氏への件で連絡を受けたと明かしたという。そこで、フラヴィオ氏はブラガ氏に、通報を行った連警担当に会ってくるように求め、リオ市マウアー広場にある連警で会合を行わせたという。
フラヴィオ氏が、ケイロス氏と幽霊職員だった同氏の娘のナタリア氏を解雇したのは、一次投票から8日後の18年10月15日のことだった。
件の連警は、決選投票でボルソナロ氏に悪影響が出ないように配慮し、ケイロス氏への捜査も含む「フルナ・ダ・オンサ作戦」の開始を、翌11月まで引き延ばしたとされている。
同件が報じられると、政界や世間から「モロ氏による、大統領の連警干渉疑惑よりも重い」との声が相次ぎ、マリーニョ氏への捜査を求める声が強まっている。それを受け、連邦検察庁も連警にマリーニョ氏に事情聴取を行うよう命じた。
マリーニョ氏は統一選後、民主社会党(PSDB)に移籍し、10月のリオ市長選の候補となっている。今年3月に急死したボルソナロ氏の元選挙参謀グスターヴォ・ベビアーノ氏も、昨年12月にUOLサイトに対し、フラヴィオ氏に関し、同様の疑惑を語っていた。