ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ヘルメット型の人工呼吸器開発=臨床例少ないが、有効性確認

《ブラジル》ヘルメット型の人工呼吸器開発=臨床例少ないが、有効性確認

新しく開発されたヘルメット型人工呼吸器の臨床試験(14日付G1サイトの記事の一部)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、人工呼吸器を必要とする入院患者が増えているが、現場での器材不足を克服するために、ヘルメット型の簡易版人工呼吸器が開発された。
 13日からサンパウロ総合大学(USP)付属クリニカス病院で臨床試験が行われている人工呼吸器は、欧州などでも使われているヘルメット型で、個別制御呼吸バブル(BRIC)と呼ばれる。
 新型コロナウイルス感染症の特徴の一つは急速に進む肺炎で、集中治療室に入院する患者は人工呼吸器を必要とする人が多いが、現場で使える人工呼吸器が足りず、治療に支障をきたす例も起きていた。
 ライフ・テク・エンジェニャリアというメーカーが開発した人工呼吸器は、コロナウイルス感染症患者が計器類に繋がれた状態になるのを、最大で35%防ぐ事が出来ると期待されている。
 この人工呼吸器は機械を使った性能検査の後、ボランティア2人による臨床試験が行われている最中だ。臨床試験は、USP医学部のマルセロ・アマト教授と、クリニカス病院集中治療室のカルロス・カルヴァーリョ医師の指導の下で行われている。
 肺炎などで入院中だが、集中治療室に入る手前というコロナウイルス感染症患者の治療に特化した人工呼吸器開発は、医療現場と技師、企業の協力の下で行われ、1台あたりの経費は627レアルと廉価だ。ヘルメット型は患者の呼気が外に漏れにくく、ウイルスが病室内に拡散するのを最小限に防ぐ事が出来る。また、患者が機械類に繋がれた状態になる事を避ける可能性が高く、患者の負担を減らせる上、現場の医師や看護師が感染する危険性を低くする事が出来る。


 クリニカス病院では、さらに臨床試験を重ねた後、国家衛生監督庁(ANVISA)の許可を申請する意向だ。
 コロナウイルス感染症の患者を扱う医療現場での人工呼吸器不足は深刻で、サンパウロ州でも中国から購入した3千台の人工呼吸器の到着が待たれている。ただ、ブラジルでは品不足に乗じた水増し請求その他の不正購入疑惑が噴出しており、せっかく購入した機械が現場に届かないとか、一部の部品が不足したままの製品納入といった問題が起きている。(14日付G1サイトより)