コロナによって人生を狂わされる在外邦人も出てきており、結果的に「コロナ離婚」相談が増加している。同様に思うように帰国ができないご時勢となり、遺産相続問題を抱える人も頭を悩ませている。
そんな中、カリーニョ行政書士事務所(東京都所在)の藤田みき代表は、「相続手続きは一人一人異なるので、自分にとって何が必要かを見極めることが大事。海外にいることで、日本とは異なる手続きもあるので、それを見極めて動く必要がある。情報不足から高い航空賃を払って二カ国間を往来しても、結局手続きが終えられなかったようなケースもある」と注意を呼びかける。
具体的な離婚や相続の手続きの注意点は、次の通りだという。
①日本人とブラジル人の夫婦が離婚する場合の手続きについて
★日本とブラジル両国で結婚手続きを行っている夫婦は、離婚も同様に両国での手続きが必要。
★どちらか一方の国でしか結婚手続きを行ってない場合は、手続きをしてない国においては、未婚のままになっているので離婚手続きも必要ない。
※日本で離婚する手続きは、協議離婚の場合は、必要な手続きは離婚届を役所に提出する。その際、本籍地に郵送する形であれば、特に添付資料も必要がないため、海外からでも簡単に手続を済ませられる。
【手順】①インターネットで離婚届をダウンロード/②離婚届に夫婦で記入/③証人2名に署名捺印をもらう/④本籍地の役所に郵送
※日本での給料や財産があれば、離婚後の養育費や財産分与の財産を確保するため、財産や給料の差押えができる公正証書を作成するのがお勧め。
作成には本人もしくはその代理人が公証役場に出向く必要がある。本人が行けなくても、代理人に依頼すればよいが、代理人が公証役場に出向く場合、本人に「印鑑証明書」を提出してもらう必要がある。
しかし、日本に住民票がない人は、印鑑登録をしていないため、印鑑証明書もない。そのため、印鑑証明書の代わりに、ブラジルの日本国総領事館に出向き、印鑑証明に変わる証明書を取得する必要がある。この他、日本では協議が整わない場合、調停・調停後の裁判という離婚の方法がある。
②海外からの相続手続きの際によくある失敗例等
★海外で取得必要な書類を知らずに帰国し、一度の帰国では間に合わず、何度も往復して無駄な費用をかけた。
★日本在住の親戚に任せて、自己の相続分がほとんどなくなった。
★日本の不動産事情が分からず、売れない土地を相続分として押し付けられた。
★想像していた以上に時間がかかり、なかなか進まず期限が過ぎた。
★高齢の親に全ての財産の管理を任せていたら、いつの間にか散逸させてしまっていた(詐欺、遺産目当結婚、浪費等)
③どのような人が注意必要か?
★日本に不動産や貯金等財産のある人。
★新型コロナの影響等で帰国がままならず相続手続で既に困っている人、これから相続手続きが必要になるであろう人。
★特に一人っ子や、兄弟がいてもすでに他界しており、日本の親戚だけでは心もとない人。
★海外生活が長く現在の日本の法律や不動産事情の変化に不安のある人。
★海外にいることで、他の相続人より自分の相続分が少なくなるのではないか等不安な人。
【カリーニョ行政書士事務所】住所=東京都新宿区西新宿7―2―6、西新宿K1ビル3階、電話81―3―6890―5099、ホームページwww.carinho-office.com/souzoku/kaigai.html