【既報関連】世界保健機関(WHO)は25日、新型コロナウイルスに対するヒドロキシクロロキンの臨床試験差し止めを命じた。同薬とクロロキンは、ブラジル政府が同病の公式治療薬として承認するよう、諸方面に圧力をかけている薬剤だ。25、26日付現地紙、サイトが報じている。
WHOが今回下した決断は、23日付本紙でも報じた、英国の保健誌「ザ・ランセット」が、世界100カ国で9万6千人の入院患者対象に行ったクロロキン、ヒドロキシクロロキンのコロナウイルスに対する効果を試したテスト結果を受けたもの。
この試験では、二つの薬を使った患者の死亡率が、薬を投与されなかった患者より高く「効果が見られない」との結論に至っていた。また、従来はクロロキンよりも毒性が低くて安全と思われていたヒドロキシクロロキンを使ったグループの方が死亡率が高く、不整脈などの症状も起きた。
だが、臨床試験の結果やWHOの決定を受けても、ブラジル保健省は「軽症患者からクロロキンの服用を薦める」という方針を変えないとの見解を示した。
同省教育労働局長のマイラ・ピニェイロ氏は、「ランセットの研究結果は様々な国のデータの寄せ集めに過ぎず、ブラジルをはじめとする国々が参照すべきものではない」、「ブラジルは米国やインド、トルコなどが発行した216の使用基準を参照にして、新たなプロトコルを作成した」との見解を示し、クロロキンの使用継続を肯定している。
トランプ米大統領は自分も同薬を服用中と公言したが、米国食品医薬品局(FDA)は20日、入院患者以外の人へのクロロキン使用への警告を発している。