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《ブラジル》最悪なら1日のコロナ死者は3千人超?!=米国ワシントン大学が予測

退院する患者と祝福する医療従事者(回復者は13万5千人余で約40%、Ag. Pará)

 【既報関連】ブラジルでの新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、26日の死者増加数は4度目の1千人超えで、世界最多だった。26日夜の保健省発表による感染者数は前日比1万6324人増の39万1222人、死者数は同1039人増の2万4512人だったと26、27日付現地紙、サイトが報じた。米、露、英、仏、伊などの欧米諸国は1日あたりの死者数が減り始めたのに、ブラジルでは増加傾向が続いている事は世界的な懸念材料の一つだ。
 ブラジルでの感染拡大が止まらないのは、社会的隔離が緩んだ事と検査不足が原因とするのは、サンパウロ総合大学医学部教授のマリオ・スケフェル氏だ。同教授は米国とブラジルを比較し、ブラジルは非常事態宣言後も十分な対策をとれていないと指摘する。先週まで米国で客員調査員として活動していたリオ連邦大学のロムロ・ネリス氏も、同様の批判を行っている。
 米国は自国内での感染拡大を確認すると、遅ればせながら社会的隔離を採用。まとまった数の検査を行い、人工呼吸器やマスクなども早急に調達した。だが、ブラジルでは大統領が社会的隔離策に反対。一斉検査はおろか、重症者に対応するための集中治療室さえ十分に確保出来ていないのが現状だ。
 ボルソナロ大統領は26日夜も反隔離を説き、経済活動停滞に苦言を呈したが、国を挙げた集中的な感染拡大抑制策がない事や、保健行政の要である保健相が1カ月足らずで2人も退任した事などがコロナ対策を遅らせているとの認識はない。
 こういった状況下、米国ワシントン大学の研究者達が、ブラジルでは8月はじめまでに12万5千人が死亡するとの予測を発表した。同大学の研究者達はホワイトハウスの戦略立案にも参画している。今回発表した予測は19州のデータを参照して試算したもので、8州を参照にし、12日に発表したものよりさらに悲観的になっている。

 同大学の予測では、8月4日までの死者は最少で6万8311人、最多で22万1078人で、6月23日~7月20日の死者は1500人/日以上。ピークの7月13日は1526人が死亡するという。ただし、最悪の筋書きでのピークは6月16日で、同日の死者は3059人に上ると試算している。その場合、ブラジルの死亡率は10万人あたり63・85に達し、イタリアの71・79、スペインの78・74、英国の66・03に次ぐ事態になる見込みだという。
 同大学が描いている最悪のシナリオでは、8月はじめのブラジルの死者は22万1078人で、米国の20万7364人を超える予想だ。米国の見込み死亡率は43・71で、ボルソナロ氏が反隔離の例に挙げるスウェーデンの死亡率は51・44に達する見込みだ。
 なお、8月はじめまでのリオ州の死者の見込み数は2万1千人から2万5700人に増えた。同州では26日午後現在で入院待ちの人が392人(集中治療室286人、一般病室106人)いたが、病室はあっても医療従事者が足りず、入院させられないという。全国では5州が医療崩壊状態またはその寸前だ。