27日に行われた連邦警察によるフェイクニュース(虚報)捜査を巡り、ボルソナロ大統領の最高裁への対立姿勢が強まっている。リオ連警をはじめとする連警の捜査や人事への干渉疑惑が表面化して以来、大統領には、息子や友人を強く意識した行動が目立っている。27、28日付現地紙、サイトが報じている。
ボルソナロ大統領と最高裁の立場は、セウソ・デ・メロ判事が22日に、セルジオ・モロ前法相が辞任するきっかけの一つとなった、4月22日の閣議のビデオをほぼ全編公開したことで悪化していたが、27日にアレシャンドレ・デ・モラエス判事がフェイクニュース関連の捜査を命じたことで、亀裂がさらに深まった。大統領はフェイクニュース捜査が行われたことを知ると、すぐに閣議を開き、今後の対策を話し合った。
フォーリャ紙などの報道によると、ボルソナロ氏は、フェイクニュース捜査が再度行われたら、次男カルロス氏が捜査対象になることを強く恐れていたという。同氏は、連邦政府内に非公式に存在するとされるSNS違法拡散グループ「嫌悪部隊」のリーダーと目されている。
ボルソナロ大統領は28日、セウソ判事によるビデオ公開は「権力乱用だ」と批判し、同閣議で「最高裁判事を全員逮捕せよ」と語ったウェイントラウビ教育相や、「コロナウイルス騒ぎの合間に環境法を緩和しよう」と提案したリカルド・サレス環境相を擁護。ウェイントラウビ氏に関しては、最高裁の命じた事情聴取に応じさせない方針を示した。アンドレ・メンドンサ法相もこの日、最高裁に対し、ウェイントラウビ氏への人身保護令適用を求めた。
ボルソナロ大統領はさらに、フェイクニュース捜査についても「昨日起きたようなことは、もう2度と起こさせない」と、威嚇するような口調で語った。27日の捜査は実質的に、同氏の支持者である政治家や活動家、企業家らを標的としていた。
大統領三男のエドゥアルド下議も27日、フェイクニュース捜査に強い不快感を示し、自分の支持者たちに対して大規模な抗議活動を行うよう呼びかけた。同下議もカルロス氏同様、「連邦政府のフェイクニュース拡散のリーダー」とみられている。
一方、従来も大統領を擁護する発言が目立っていたアウグスト・アラス連邦検察庁長官は、フェイクニュース捜査に不快感を示し、同捜査の打ち切りを申し入れた。同件の担当となったエジソン・ファキン判事は28日、この要請を最高裁の大法廷に回す判断を下したが、最高裁判事の一部は既に「同長官の要請が受け入れられる可能性はゼロだ」と語っている。
ボルソナロ氏と最高裁との対立が息子絡みの疑惑が発端であることは、周知の事実だ。セウソ判事が担当している連警へのボルソナロ氏の干渉疑惑も、長男フラヴィオ氏に対する収賄疑惑捜査を恐れていることなどが背景にある。また、フラヴィオ氏が26日に行われたウィルソン・ヴィッツェル・リオ州知事への捜査を事前に知っていたような言動を見せたことも、「リオ連警からボルソナロ一族に情報が漏洩しているのでは」と思わせる要因にもなっている。