ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》大統領はコロナ治療でクロロキン固執=WHO等が危険性警告するも

《ブラジル》大統領はコロナ治療でクロロキン固執=WHO等が危険性警告するも

 【既報関連】世界保健機関(WHO)がクロロキンとヒドロキシクロロキンの臨床試験を禁じた後も、ボルソナロ大統領はクロロキン使用を正式承認しようとしているのに対し、コロナ感染症のがん患者へのヒドロキシクロロキン併用が死亡リスクを高めるとの警鐘が発せられたと29日付アジェンシア・ブラジルが報じた。
 ヒドロキシクロロキンは抗マラリア薬として、何十年も抗生物質のアジスロマイシンと併用されて来た。
 だが、米国臨床腫瘍学会のハワード・バリス会長によると、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンをコロナ感染症に罹患したがん患者に投与した結果、各々の薬を単独で使用した場合と比べて、30日以内に死亡するリスクが3倍高かったという。同会長は、より詳細な研究が必要と前置した上で、二つの薬の併用がリスクを高めるとの見解を明らかにした。

 トランプ米大統領はアメリカ食品医薬品局(FDA)に働きかけ、クロロキンとヒドロキシクロロキンをコロナ感染症の治療薬として緊急承認させた。だが同薬は、コロナ治療薬としての有効性と安全性が十分に証明されていない上、死亡率が高い、副作用があるなどの問題点を指摘する研究報告が相次いでいた。
 WHOの試験禁止発言後は臨床試験の中止を発表する国が相次いでいる。だがブラジルでは、トランプ氏と意向を一にするボルソナロ大統領が、保健省に働きかけて統一医療保健システム(SUS)でも軽症のコロナ感染症の患者から使用出来るよう使用基準を変更させたばかりで、投与や臨床試験を制限する動きは出ていない。