連邦政府内で黒人の人種差別問題などを扱うパルマレス文化財団会長で、自身も黒人のセルジオ・カマルゴ氏が、4月に行われた会議で黒人運動を「呪われた時代のいまいましい残骸」と呼んだほか、様々な暴言を吐いていたことがわかったと、2、3日付現地紙、サイトが報じている。
これは、4月30日に行われた会議の席上、カマルゴ会長が黒人問題に関する様々な暴言を吐いていた録音が漏洩し、それを2日にエスタード紙が報じたことで明らかになった。
それによると、会議では同会長の携帯電話がなくなった話が出て、「誰が盗ったと思うのか」と訊かれた同氏が、「俺が解任した理事なら誰でも可能性がある。俺に迷惑をかけたい奴が侵入して盗んだに違いない」と断言。黒人への人種差別に反対し、黒人の権利を訴える黒人運動を「呪われた時代のいまいましい残骸」と呼び、「黒人運動なんかに身をやつす馬鹿な奴らが盗んだのさ」とも語っていた。
カマルゴ氏はさらに、同財団の命名の元となった17世紀のキロンボのリーダー、ズンビに関して「今まで尊敬したこともない。あんなのはただの黒人奴隷の息子だ」と語り、「(11月20日の)黒人の日もどうでもいい日だ。その日の行事でアマパー州まで行ってパゴッジのショーをやったが、あんなものは馬鹿げている」などと罵倒していた。
この発言は漏洩後にすぐに問題となり、カマルゴ会長に対する批判が相次いでいる。米国で黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警官に首筋を膝で押さえつけられ、全体重をかけられたまま圧死した事件で、全米規模で長期の抗議運動が盛り上がっているタイミングでの漏洩であったことも問題に拍車をかけた。
米国での抗議デモはブラジルにも影響を及ぼし、1、2日にはパラナ州やアマゾナス州でアンチ・レイシズム(人種主義)のデモも行われ、拡大傾向にあった。
カマルゴ氏は19年11月にパルマレス財団の会長に指名されたが、それ以前に「ブラジルに黒人差別など存在しない」などとSNS上で書いていたことが問題視され、物議を醸した。同氏の指名は同年12月にセアラー州地裁が差し止めたが、20年2月に高等裁が判決を覆したため、やっと就任に至ったという経緯の持ち主だ。