【既報関連】3、4日付現地紙、サイトによると、3日晩に保健省が発表したコロナ死者数は1346人/日で、2日連続の記録更新となった。3日夜現在でコロナ感染者は前日比で2万8633人増えて58万4016人、死者は3万2548人になった。
死者数は相変わらず右肩上がりで増えているが、1~3日に死亡したコロナ感染者は408人で、それ以外はそれ以前に亡くなった人だ。保健省によると、3日現在も死因調査中の人が4115人いる。公式統計が実態とかけ離れている事は、専門家が最も懸念している事の一つだ。ブラジルもイタリア同様、最初の感染者確認(2月26日)は市中感染が始まった後で、検査の遅れや社会隔離導入の遅れは、感染拡大抑制をより困難にしている。一部では隔離緩和が始まり、専門家の懸念が高まっている。
また、コロナへの感染を怖れて持病の治療を中断したりした人や、病床がなく、入院を待っている間に病状が悪化したりした人が自宅で亡くなる例も増えている。
1日付G1サイトによると、アマゾナス州マナウス市の移動式緊急医療サービス(SAMU)の担当医は、1回の当直で自宅で死亡したコロナ患者5人の死亡証明書を作成した事があるという。
ブラジルでは3月16日~4月30日に自宅で亡くなった人は、昨年同期より10・4%多い2万7200人いた。自宅での死者は貧しい人達ほど多いという。増加率上位は、医療崩壊が起きたアマゾナス州149%、リオ州40%、聖州14・5%となっている。
同様の傾向は国外でも見られ、英国ではパンデミック後の自宅での死者は従来より8千人多い。米国ニューヨークでも、従来の平均20~25人/日が、一時は1日200人に達していた。
自宅での死者のコロナ感染者は8割で、残りの大半は、病院での感染を怖れたり、診察キャンセルなどで持病の治療を中断した人達だ。
病床不足や医療崩壊を避けるため、軽症者には自宅隔離が勧められる事が多いが、コロナ感染で生じる症状は複雑だ。中枢神経がやられて肺の酸素量減少を認識出来ないため、疲労感は強いが高熱や息苦しさはなく、軽症だと思っていた人が、急な病状悪化で死亡する例がある。また、心筋梗塞や脳梗塞が死因だと思っていたら、コロナへの感染が確認された例や、腎臓機能障害などを起こす例もある。
病床確保や検査実施は州や市に委ねられている部分が大きく、そこへの予算増加は早急に手当てが必要だ。ところが、ボルソナロ大統領は3日、金融取引税(IOF)の積立金(FRM)をなくす法案を裁可した際、これまでに積み立てられていた86億レアルを州や市に分配する事を認めた項目に拒否権を行使し、議会の反発を招いた。この項目は、大統領が出した暫定令を連邦議会が承認した際、国庫に入れるのではなく、州や市のコロナ対策支援のために使用すると変更したもの。連邦議会は、州や市支援のため、早急に拒否権の拒否を審議する意向だ。