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特別寄稿=感染症を引き起こす病原体とは=サンパウロ市在住 成田修吾

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(Credito: NIAID)

 新型コロナウイルス感染が地球規模で世界に拡散して、世界各国が防疫対策に必死になっている昨今、感染防止策としてのロックダウンするところもあれば、日本のように非常事態宣言全面解除する国と様々ですが、ブラジルでは、まだ感染者が増え続け、死亡者も増えています。
 今回の「武漢ウイルス」とも呼べる、コロナウイルスの実態やWHOの政策的指導など、世界44か国の研究所で700件にも及ぶ検体試験でワクチンと治療薬の研究が進んでいるといいます。そこには米中貿易戦争の始まりから今日に至る、世界各国の思惑も見えてきたように感じられます。
 私たちはいったいどうすればよいのか、真剣に考えて、家族を感染病から守り、自己の防疫対策をしっかり見極める事が肝要かと思います。それには、様々な感染情報や、ウイルス情報などを知るだけの知識を知っておいて、自然の流れの中にどういう防除策と自分たちの健康、つまり抗体力をいかに維持すべきか考えることではないでしょうか。
 新型コロナウイルスは、地球上から人類への蔓延から消え去ることはないだろうという、ノーベル医学賞を受けた博士たちが言っています。ではどうすれば上手に、共存していけるのでしょうか。考え見てはいかがでしょうか。

目に見えない病原体

 さて、感染症を引き起こす主な病原体は、ウイルス、細菌、真菌があります。いずれも目には見えないもので、ウイルス、細菌、真菌にはどのような違いがあるのでしょう。
 電子顕微鏡写真で見た範囲では、大きさにもいろいろあるのですが、実感がありません。ナノとかミクロンとかいう単位です。ナノは10億分の1を表す単位で、ナノテクノロジーとか言われています。ミクロンは100万分の1メートルでつまり1000分の1ミリの大きさのことです。
 これらの菌が次々と解明されて来たのは、すべてにおいて電子顕微鏡の開発と技術進歩によるもであることは言うまでもありません。
 一例では、ヒトが持つヒト細胞の大きさが10ミクロンの大きさからみれば真菌がその10分の1、細菌が1ミクロンとすれば、ウイルスが50ナノの大きさに例えることができます。
 またそれらの検体を電子顕微鏡で観察を続けると大きさばかりでなく、基本的な検体の構造までもみつけられ、その染色体や遺伝子までもがわかってくるそうです。
 そこで、ウイルス、細菌、真菌のそれぞれの違いを見てみましょう。

細胞膜すらないウイルス、細胞壁を持つ細菌

細菌の基本的な構造。細胞膜の外側には細胞壁(この画像ではそのさらに外側に莢膜)がある。細胞内小器官は存在せず内容物は混ざっている(This vector image is completely made by Ali Zifan)

 人への感染では、ウイルスは単独では増殖できないので、ヒトの細胞の中に侵入して増殖します。
 これがいま世界の人々に悪さをしている新型コロナウイルスも仲間なのです。細菌は体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら、ヒトの細胞に侵入するか、毒素を出して細胞傷害を引き起こします。
 もう一つの真菌はヒトの細胞に定着し、菌糸が成⾧と分岐によって発育していき、酵母細胞では出芽や分裂によって増殖します。戦後の肺病を治癒した特効薬として投与されたぺニシリンはこの真菌の部類で、改良された薬品であることはよく知られています。
 現代の感染病医療で知られるウイルスには、読者の記憶にも残るものもたくさんあります。ノロウイルス、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIVなどがあります。
 細菌では、ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌、炭そ菌、結核菌、没ヌルス菌、破傷風菌、レンサ球菌などがあり、真菌ではタムシ/ヒゼン、カンジダ、アスペルギルスなどです。
 それぞれの感染症には、ウイルス感染症に、感染症胃腸炎、インフルエンザかぜ症状群、風疹、麻疹、水痘、肝炎、帯状疱疹、エイズなど。細菌に感染症胃腸炎、腸管出血性大腸菌(O157)感染症、結核、敗血症、外耳炎、中耳炎など。真菌による感染症には、水虫、カンジダ症、アスペルギルス症などがあります。
 これらの感染症の有効な治療薬として考えられる事は、ウイルスの場合、ウイルスは細胞膜がなくヒトの細胞に寄生しているため、治療薬は少ししかなく、開発段階のものが多い。抗ウイルス薬としては、ウイルスに直接作用するものと、免疫機能を調節するものとがあります。
 ポリオ、麻疹、風疹、おたふくかぜ、日本脳炎などの予防接種で予防しますが、様々な深刻な感染症ウイルスについては、ワクチン開発中かもしくは全く存在しないものが多く、完治率の確実性も100%とはいえません。
 細菌性感染症では、細菌の細胞に作用、あるいは増殖を抑制する抗菌亦が有効な治療薬で、細菌の特性に応じたさまざまなタイプの優れた抗生物質と合成抗菌薬が存在する。真菌では、細胞膜したり、細胞膜の合成を阻害する抗真菌薬があります。

ヒトとうまく共存する常在細菌も

 ヒトの体には住み着いている有効な細菌もたくさんあります。微生物は、私たちの身の回りだけでなく体内でもたくさん存在するのです。そのほとんどが細菌で、常在細菌というのだそうです。体の中には、適度な温度と湿度と栄養があるため、常在細菌にとっては住み心地のよい環境なようです。
 皮膚や口、鼻の中や消化管、泌尿器など外部と接するところに住みついていきます。特に腸内には乳酸桿菌、ビフィズス菌、大腸菌、腸球菌、ウエルシュ菌など、薬400~500種類、約100兆個もの腸内細菌がすみついていて、腸内の内容物を分解したり、ビタミンを産生したり、免疫にも関与しているといわれています。
 このように常在細菌はヒトの体へ害を与えることなく、病原体の侵入を防ぐなど有利に働きながら、うまくヒトと共存しています。
 しかし、ヒトの免疫機能が低下して抵抗力が弱った場合には、通常では無害の常在細菌が感染症を引き起こすことがあり、日和見感染というのだそうです。筆者の若いころ東京芝白金の北里研究所へ入所してすぐに研修を受けた経験を思い起こしながらまとめてみました(出展サイト*www.seirogan.co.jp
 以上で終わりますが、筆者も自己防疫のために、先日紙面で掲載していだいた免疫力向上のための食材20選(①ヨーグルト、②納豆、③ニンニク、④芋、⑤りんご、⑥鶏肉、⑦味噌、⑧大根、⑨小松菜(モスタルダで代用)、⑩バナナ、⑪カボチャ、⑫ブロッコリー、⑬緑茶、⑭アーモンド(ピーナツで代用)、⑮ゴマ、⑯アバカッテ、⑰生姜、⑱人参、⑲白菜、⑳卵)を毎日少しづつ使って調理して「薬」と思いながら食し、いつまで続くのか見えない敵とマラソン戦争に挑んでいます。
 読者の皆様もワクチン感染や治療薬完成まで、感染を避けるためにもお試しください。そしてコロナ・パンデミックの闘いに打ち勝ってください。帰宅時のアルコール消毒はお忘れなく。