7日にサンパウロ市パウリスタ大通りなどで開催予定の反ファシズムデモに関し、「新型コロナウイルスの感染爆発に考慮すべき」との意見があがり、強行しようとする勢力との間で意見の衝突が起こっている。5日付現地サイトが報じている。
軍事クーデターの可能性をほのめかしたりする連邦政府関係者の言動に対抗する反ファシズムデモは、5月31日に行われた。これが世間から好反応を得たため、7日に2回目のデモを行うとの呼びかけが行われていた。
ところが4日、民主労働党(PDT)やブラジル社会党(PSB)、レデ(REDE)など、主に左派のリーダーたちが中心となって「7日のデモを延期すべきだ」とする署名が行われた。理由は「コロナウイルス対策に専念すべき」というもの。この日はコロナ死者の累計が世界3位、1日の感染者、死者が世界一を記録した日でもあった。
とはいえ、左派最大勢力である労働者党(PT)は、デモを行うべきとの強い意向を表明している。他の左派が集めたデモ延期の署名には同党重鎮のジャッケス・ヴァギネル上議の名前もあったが、「ヴァギネル氏が党の方針を知らなかっただけだ」とPTは説明している。
PTは、「世界保健機関(WHO)の勧めを守りながら平和な行進をする」としながらも、「憲法第5条の表現の自由を守るためにも引き下がるわけにはいかない」と文書で発表している。
反ファシズムデモは現在、白人警官の黒人男性殺害を機に米国で爆発的に拡大中で、その勢いのある内にブラジルでもデモ開催をと望む声がある。
一方、ボルソナロ大統領は3日、反ファシズム勢力を「テロリスト」と呼び、「軍警による取締を厳しくすべきだ」と主張した。
サンパウロ州政府は、7日に反ファシズム派とボルソナロ派の両方のデモが起きる可能性を考慮し、両者を分ける考えでいる。